数的処理の攻略法を知りたいです。

Q. ある程度、数的処理の勉強が進んできました。基本的な問題であれば解けるのですが、新しい問題やひねった問題になると、対応しきれません。他の科目と違い、問題のバリエーションも多いと思うのですが、どのように攻略すればよいのでしょうか。

 

〈今回のテーマ〉
・数的処理という大きな括りで見たとき、どのような考えを持つべきか。

 

《あらためて「覚える」ことを確認》

数的処理の各ジャンルについての勉強法については、以下を参照してみてください(今回のテーマとも一部重複します)。

数的処理の点数が伸びません(その1:数的推理編)。

数的処理の点数が伸びません(その2:判断推理編)。

数的処理の点数が伸びません(その3:空間把握編)。

数的処理の点数が伸びません(その4:資料解釈編)

「高校時代の数学は苦労しなかったのに、どうも数的処理は苦手」という声をたびたび聞きます。ここに数的処理攻略のヒントが隠されています。

多少語弊がある表現ですが、高校生で習う(大学受験で使う)一定レベルまでの数学は、解法パターンや公式を覚えているかどうかの要素が強いです。

自分の周りにも、「数学は苦手だけど、大学受験の数学はすべて覚えて対応した」と言っている人がチラホラいます。

一定レベルまでの大学受験の数学は、パッと見て、このタイプの問題は、この公式をこのように使っていけば、最終的に答えが出るという道筋がはっきりしています。マイナーテーマも含め、解法が体系化されています。

問題を見た瞬間に、一本道で迷わず、最初から最後まで解く流れが頭の中に浮かぶ。そんな印象です。

だからこそ、それを全部覚えれば、しっかりと結果がついてくる。公務員試験でいうと、経済学に強いかもしれません。

余談ですが、以前、囲碁の本を読んでいたときに、DeNAの守安社長の話が出ていたのですが、囲碁を始めたとき、「定石? これ、全部覚えれば良いんでしょ。」と言って、あっという間に有段者になったというエピソードがありました。

…これは才能ですよね。自分は何にしても覚えることに四苦八苦するタイプなので、本当に羨ましく思います。

では、数的処理も同じアプローチで対応できるかというと、なかなか厳しいというのが実際のところでしょう。

例えば、N進法の基本問題や、ニュートン算のように、どんな問題でも解法パターンがはっきりしている問題(一本道)であれば、すべてを覚えてしまうアプローチが有効です。

しかし、多くの問題はそうはいきません。すでにある程度、勉強されている方はわかるかと思いますが、一本道で解ける問題が少ない

数学とは異なり、問題の中に人為的なひっかけが設けられていることが多いです。

このため、ひっかけという交差点で正しい道筋を確認しながら、進んでいくような形になります。

では、どのようにして正しい道筋を確認していくのか。

中学受験の算数の問題や、数的処理の問題となると、「発想力」や「柔軟さ」、「センス」ということがキーワードとして取り上げられることもあります。

しかし、やはり基本は「覚える」ことにあります。さっきと話が違うと思った人もいるかもしれませんが、「覚える」ものが違います。

例えば、自動車に乗って新宿駅から横浜駅まで行くとしましょう。

ルール1 「出発時にだけナビで道順を確認してよい」であれば、どの通りを進んで、どの交差点で曲がって…という形で正確に「覚える」のが理想的です。

ルール2 「スマートフォン、地図などの使用禁止、人に聞くのも禁止」だとしたら? 手探りであれこれと考えながら、新宿駅から横浜駅へ進むことになるでしょう。

同じルール1、ルール2で今度は、新宿駅から大宮駅へ進むことになりました。

ルール1であれば採用する理想のアプローチは同じです。ルール2では、いかがでしょうか。

こちらについては、新宿駅から横浜駅へ行った経験が生きてきます

・大雑把な方角を意識する。

・目的地そのものではなくても、そこに至る途中の地名に向かう。

・幹線道路を利用することで、より遠い地名を把握できるようにする。

このようにすればうまくいくという共通する解法パターンや着眼点を意識して、「覚える」ことが重要です。

例えば、図形の問題であれば、一つ一つの問題は違う問題に見えても、共通する解法パターンや着眼点があります。

円の問題であれば、中心から頂点・接点に補助線を引く、複数の円であれば、中心どうしを結ぶ。そして、半径を利用する。

二等辺三角形が関係すれば、長さが等しい辺を利用する、角度が等しいことを利用する。角度が等しいことは合同や相似につながります。

(なお、以下の記事も参考にしてみてください。)

解ける人の目線はこんな感じです。

公式や定理などの「知識」を覚えていないと解けない問題があります。まずはこれらを正確に覚えましょう。また、一本道で解ける問題も、その解き方をマスターすることが大切です。

その上で、様々な問題を解き終わった際に、今まで解いた他の問題と共通する着眼点や、解法パターンを「覚える」ことを意識しましょう。

「ああ、一見すると、違う問題だけど、あれと同じアプローチか。ちゃんと頭に入れて覚えておこう」

そんな風に思いながら、「覚える」ことを蓄積していくと、新しく見た問題についても対処できるようになってきます。

地図もスマートフォンも無くても、目的地にたどり着けるようになる。そんなイメージで数的処理全体の攻略法も考えてみてはいかがでしょうか。

 

〈まとめ〉
・まずは公式や定理などの「知識」を確実に覚えましょう。
・一本道で解ける問題は、正確に「覚える」ことが重要です。
・一本道で解けないような問題も、共通する着眼点や解法パターンがあります。それをしっかりと意識して「覚える」ようにしましょう。