数的処理の点数が伸びません(その4:資料解釈編)

Q.数的処理の勉強を勉強をしていますが、なかなか新しい問題が解けるようになりません。前にやった問題も忘れてしまっています。何か勉強方法が間違っているのでしょうか。

 

〈今回のテーマ〉
・数的処理の勉強の勉強の基本方針とは?(資料解釈)
・資料解釈の勉強で注意すべきポイントは?

 

《資料解釈の勉強方針(Step.1.2.3)》

 

 数的処理の勉強の仕方について、数的推理、判断推理、空間把握と続けてきました。最後は「資料解釈」についての話をしていきたいと思います。

 

 数的処理の中で、資料解釈というジャンルがどういう特徴があるのかを確認していきましょう。

 

 数的推理(速さ、確率、図形など)、判断推理(試合、位置関係、嘘つきなど)、空間把握(展開図、軌跡など)について見てきましたが、数的推理と空間把握はジャンルごとの関連性が低くテーマごとに独立しており、判断推理はジャンルごとの関連性が高いという特徴がありました。

 

【ブログ記事】数的処理の点数が伸びません(その1:数的推理編)

 

 資料解釈の場合は、構成比、増加率、相関図など、それぞれのジャンルでのアプローチの仕方が異なりますが、基本的な計算方法については共通しています。

 

 つまり、資料解釈は「資料そのもののジャンルごとの関連性は低いが、各ジャンルでの着眼点は共通している」のが特徴です。

 

 この点を踏まえて勉強法を考えてみましょう。資料解釈の勉強の基本方針は次のようになります。

 

[Step.1]
 ジャンルごとの学習。基本テキスト・基本問題で「資料」と「問題文」を正確に読み取れるようになる。

 

[Step.2]
 過去問集などで各ジャンルの問題を毎日1問以上薄く広く解く

 

[Step.3]
 本試験問題を通しで解き、実力チェックをする(特に所要時間の確認を)。

 

 それぞれについて、詳細を述べていきましょう。

 

[Step.1]
 ジャンルごとの学習。基本テキスト・基本問題で「資料」と「問題文」を正確に読み取れるようになる。

 

 資料解釈は、「資料」と「問題文」が正確に読み取れれば、あとは計算を確実に行うだけで、正解を導き出すことのできるジャンルです。その意味でもまずは100%正解できるための準備が最も重要でしょう。

 

 計算に時間がかかってしまうため勉強が負担になっている人は、最初は「電卓を使って解く」ことをオススメしています。電卓を使って解けるのであれば、「資料」と「問題文」が確実に読み取れていることが把握できます。安心して次のステップに進むことができます。

 

 電卓を使っても間違えてしまう人は、計算が苦手だから間違えているのではなく、そもそもの「読み取り」の部分ができていないことががわかります。

資料解釈の相談で「計算が苦手でよく間違えてしまう」や「スピードアップを意識して間違えてしまう」と言われる方がいるのですが、よくよく解いた痕跡を確認すると、そもそも「読み取り」ができていないケースが見受けられます。

資料解釈はまず「読み取り」ができていなければ、始まりません。計算については、とりあえず「電卓」を使っても構いませんので、確実に「読み取り」をできるようにしましょう。

 

 特に読み取りがポイントになる資料としては「増加率のグラフ」が挙げられます。頻出であり、読み取りに癖のある資料ですので、確実にマスターしておきましょう。また、国家系の資料は「読み取り」に重点の置かれた問題の出題が多いです。志望者は過去問で様々な問題を解きましょう。

 

[Step.2]
 過去問集などで各ジャンルの問題を毎日1問以上薄く広く解く

 

 資料解釈は資料の種類ごとの特徴もありますが、計算そのものの考え方や着眼点については、概ね共通しています。数的推理や空間把握と異なり、ジャンルごとに「覚える」ことは多くありません。

 

 資料解釈は基本的に時間をかければ解ける問題が多いのですが、この「時間」が大きなポイントです。選択肢を5つ、すべてに手をつけるとなると、仮に1つに2分で、合計10分かかることになります。もちろん、それでは時間は足りません。

 確実に解けるようになったら、「着眼点」によって計算量を減らすように、そして、しなくてはならない計算は「計算テクニック」を用いて楽に解けるように、時間短縮を意識した練習をしていくとよいでしょう。。

 

[Step.3]
 本試験問題を通しで解き、実力チェックをする(特に所要時間の確認を)。

 

 これは[step.2]の内容にもつながるのですが、普段であれば、「読み取り」も確実にできて、資料解釈に自信があるという人も、全体の試験時間を意識しながら、短時間に確実に正解するには慣れが必要です。

 

 資料解釈は一つ間違えると、1問で10分消費してしまう懸念もあり、あまりにここで時間を取られてしまうと、他の簡単な問題に手をつけることができないということも考えられます。

 

 これは数的処理全般の話でもあるのですが、数的処理の中でもどのテーマから解くか、解く順番については、本試験問題を通しで解く中で、自分のルールを決めておくとよいでしょう。

 

 解く順番については、人によって様々ですが、その人にとって良いリズムが存在します。「確実に正解するために、時間をかけても最初に解く」や「時間がかかりすぎるので、余った時間で取れる問題だけ解く」など、他のテーマも合わせて解く順番を考え、それを意識した練習をするとよいでしょう。

 

 

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《資料解釈は「全問正解」を目指す!》

 

 講義などで私は「資料解釈は全問正解を目指しましょう」ということをことさら強調します。なぜ、他のテーマについてはそこまで強調しないのに、資料解釈だけ強調をするか、その理由を述べておこうと思います。

 

 一つは、解けない問題が少ない点です。資料解釈は「読み取り」さえできれば、あとは極端な話、筆算でひたすら計算をすれば、正解にたどりつけます。数的推理、判断推理、空間把握のように「わからない」問題があるのに比べると、確実性も高いです。やった勉強が報われるテーマといえるでしょう。

 

 また出題パターンも他のテーマに比べると少ないです。特に東京都や特別区については、毎年のように同じタイプの資料が出題されています。出てくる問題がわかっているのであれば、入念な準備をしておくべきでしょう。

 

 そして、「全問正解」を目指すことが、途中でも指摘した時間短縮につながります。日頃から満点を目指して、確実に解けるようになっている人は、正解肢を見つけたら、他の選択肢を解かずに、次の問題に進むことができます。

 

 なかなか自信がないと他の選択肢を確認せずに次の問題に進むという判断はしづらいですが、日頃から確実に解けるように準備をしていれば、そのような判断もできるようになります。

 

 これは時間短縮には最も効果的です。教養試験(基礎能力試験)はいずれの試験も非常に試験時間が短いのが特徴です。「時間短縮」と「得点力アップ」のために、しっかりと資料解釈の準備をしましょう。

 

〈まとめ〉
・資料解釈では、資料と問題文の「読み取り」をまずは確実にできるようにしましょう。
・資料解釈は、1問当たりにかかる時間が長いです。時間短縮のための「着眼点」や「計算テクニック」を身につけましょう。
・資料解釈は「全問正解」を目指して準備をしましょう。