もう一度、ゼロから勉強をすべきでしょうか。

Q. 数的処理をはじめ、憲法、ミクロ経済学など、一通りの範囲の勉強を終えました。しかし、久しぶりに見返してみると、かなり忘れているような気がします。もう一度、ゼロからやり直した方がよいのでしょうか。

〈今回のテーマ〉
・ゼロからやり直す科目を、どのように選別すればよいか。
・ゼロからやり直すときの勉強のポイントは何か。

 

《まずは「目次勉強法」で判断を》

予備校でたびたび受ける相談として、「数的処理が苦手なのですが、先生の数的処理の講義をもう一度、最初からすべて受講するのはどうでしょうか」というものがあります。

講義をもう一度受けた受験生からは、「二度目だったので、じっくり話が聞けて、理解も深まった」という話を聞くので、効果はあると思います。

たしかに時間さえあれば、すべて丁寧にやり直すのは効果的でしょう。独学の方であれば、もう一度、テキストを1ページからすべてじっくりと勉強し直せば、より理解は深まると思います。

しかし、時間がかかるという大きなデメリットもあります。すべての試験科目でゼロからやり直していたら、いくら時間があっても足りません。ゼロからやり直すのであっても、やり直すべき科目を絞り込むべきでしょう。

その際、絞り込む基準として、おススメしたいのが、「目次勉強法」(勝手に命名)です。

お使いのテキストの「目次」だけを見てみると、そこにキーワードが羅列されていると思います。その目次に書いてあるキーワードだけを見て、ポイント、論点を頭の中に描き出してみます

例えば、「生存権」と見たときに、皆さんは何を思い浮かべますか?

…テキストやノートを見ながらだと、思い出せそうなものも、目次のキーワードだけだと意外と出てこないのではないでしょうか。キーワードだけで思い出せないということは、試験のときも思い出せないということです。

「生存権」であれば、憲法第25条、プログラム規定説、朝日訴訟、堀木訴訟…という形でキーワードを思い出しながら、そこでのポイントや論点を思い浮かべます。

そして、時間があれば、テキストで内容まで確認して、抜けている知識がないか、理解に誤りがないか、ひとつひとつチェックするのが理想です。

しかし、ざっと科目の習熟度を確認するだけであれば、そこまでする必要はないでしょう。ある程度スムーズに出てくれば、そのテーマはオーケー、出てこなければ、アウト、と判断していきます。

目次を確認しながら、多くのテーマでキーワードがスムーズに出てくるのであれば、その科目はゼロからやり直す必要はないでしょう。苦手なテーマをピックアップして、再度やりこめば十分と判断できます。

それに対して、なかなか思い出せない、もっと言ってしまえば、目次に書いてある内容そのものを忘れているというようなテーマが多いのであれば、もう一度、ゼロベースで勉強をしてみるのも良いでしょう。

ついわかっている部分まで勉強しがちですが、時間は有限です。苦手な分野をしっかりと見つけ出し、効果的な学習をしましょう


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《テーマごとの「関連性」で判断を》

基本的には「目次勉強法」で判断をすれば確認できるかと思いますが、加えて科目特性にも注目してみると良いでしょう。具体的にはテーマごとの「関連性」です。

例えば、数的処理であれば、「速さ」や「図形」などの「数的推理」が理解できていなくても、「試合」や「嘘つき」などの「判断推理」の問題を解くのに影響はありません。バラバラにテーマごとに勉強しても支障はありません。

しかし、民法はどうでしょうか。「総則」で「意思表示」について理解をしておかなければ、その後の「物権」や「債権」の学習をする際に支障をきたすでしょう。

このように最初に学習した内容が土台となって、次のテーマにつながるようなテーマごとの「関連性」が高い科目があります。このような科目は、ひとつひとつの土台の理解が非常に重要です。

民法や経済学など、ある科目について一通り勉強をすると、たびたび登場するキーワードがあることに気づくと思います。そのような土台となるキーワードについて中途半端な理解だと、その先の理解も中途半端になってしまいます。土台となるようなポイントは、復習の際にしっかりと時間をかけて理解しましょう。

土台の理解がまだできていないという方は、最初から振り返るゼロからやり直す勉強も効果的です。「目次勉強法」をやる際に、土台の理解ができているか、確認をしてみてください。

〈まとめ〉
・「目次勉強法」で科目全体をざっと見直し、科目ごとの習熟度を確認しましょう。
・習熟度が低い科目は、もう一度、ゼロからやり直す勉強も効果的でしょう。
・テーマごとの「関連性」が高い科目は、土台の理解に時間をかけましょう。