志望動機をどう書けばよいでしょうか。

Q. 志望動機を書こうと思うのですが、どういった方向性で書くべきかが定まりません。何か意識すべきポイントはありますか。

〈今回のテーマ〉
・志望動機を書くときのポイントは何か。

 

《志望動機の主語は「私」です》

今年の面接に関するブログ記事ではまだ触れていないので、改めて触れておきたいのですが、面接についてのアドバイスは個人差も大きく、主観の入る部分でもあります。私の書いた内容が「正しいもの」と鵜呑みにすることなく、ご自身の価値観と照らし合わせ、自分の中に違和感なく入る方法を取り入れてみてください。

以下の記事にそのあたりの注意点が書いてあります。

面接カード(ES)は何を意識して書けばよいのでしょうか。

志望動機の1行目で以下のような内容をたびたび見かけます。

・A県はXという大都市を有する自治体でありながら、一方で自然豊かな環境が保全されている点に大きな魅力を感じております。

・B市は「※※※※」という大きな目標を掲げ、「○○○○プロジェクト」という先進的な取り組みを行っているため志望しました。

・C区で生まれ育ったため、C区の職員として恩返しの意味も込めて貢献したいと思ったからです。

これらの志望動機を見た場合、基本的には書き直すようにアドバイスをします。皆さんもなぜ書き直す必要があるのか、それぞれについて考えてみてください。

まず、全般としてA~Cに共通して挙げられる問題は「差別化」ができていない点です。それぞれを読んだところで、その人自身の人となり(人柄・価値観)に触れることができません。つまり、個性が感じられず、「大勢」に紛れてしまいます。

面接官に良い印象を持って面接に臨んでもらうためには、「ちょっと話を聞いてみたいな」と思ってもらうことが重要です。そのためには、「ああ、また同じか…」と思われないことが必要でしょう。

さらにそれぞれについて、問題点を挙げてみたいと思います。

 

 

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・A県はXという大都市を有する自治体でありながら、一方で自然豊かな環境が保全されている点に大きな魅力を感じております。

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これはA県という県の紹介をしているだけで、なぜあなたが「大都市」や「自然環境」に魅力を感じるかが書かれていません。

そもそもの話として「志望動機」とは、「“あなた”が志し望む理由(動機)」を聞いているものです。主語は「私」で始めるイメージを持ちましょう。

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・私はX(都市名)の○○な点が好きで、✕✕でのアルバイトも大学4年間Xで行ってきました。この4年間を通して、Xの○○な点に魅力を感じる一方、△△や□□のような課題も感じております。大学時代に勉強した※※も生かしずつ、Xのまちづくりに携わりたいと思っています。

・私は大学(高校)時代に○○(学問や部活、その他活動)を通して、自然環境の重要性を知りました。現在、Xに住んでおりますが、近隣の豊かな自然環境は、✕✕(教育、健康、観光など)にも大きな影響を与えると感じています。これまで得てきた△△の経験を活かし、Xの自然環境整備に携わりたいと思っています。

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記入スペースの分量にもよりますが、あなたがどんな経緯、きっかけでその機関(省庁・自治体など)に興味を持ち、どのようなことをやってみたいと思っているかを書きましょう。

 

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・B市は「※※※※」という大きな目標を掲げ、「○○○○プロジェクト」という先進的な取り組みを行っているため志望しました。

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これについてもB市の目標や政策について書かれているだけで、なぜ「私」がその目標に共感し、そのプロジェクトに参加したいかという点が書かれていません。

さらに加えると、ある程度有名なプロジェクトであったり、元々、何かのきっかけで知っていて本当に携わりたいのならよいのですが、「自治体のパンフレット(サイト)に書いてあったから」という理由で、とりあえず書くのは危険です。

理由は簡単で、職員がそのプロジェクトを知らない可能性があるからです。「職員なのに知らないなんてことがあるんですか?」と聞かれることがありますが、もちろん、首長肝入りのプロジェクトであったり、世間的に広まっているものは知っているでしょう。

しかし、皆さんも考えてみてください。大学生であれば、自分の大学の自分の学部のことは知っていても、他学部のことをどこまで知っているでしょうか。社会人であれば、自分の会社で所属する部署以外のことをどこまで知っているでしょうか。

面接官の立場からすると、「そんなマイナーなプロジェクトを書くということは、パンフレットかサイトを見たんだろうな」と考える可能性があります。もちろん、本気でやりたいと思っている人は、聞かれても説明ができると思いますので、気にしすぎる必要はありません。

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・私は高校時代に○○に興味を持ったことをきっかけに、大学に入ってからはゼミで□□についての研究と論文執筆を行いました。私は地元でもあるB市の○○についても大きな課題であり、その解決に携わりたいと思っています。

・私は大学での△△のボランティア活動を通して、B市の○○に関わりを持ってきました。そこで職員の方から「○○○○プロジェクト」のお話を聞き、興味を持ったことがB市を志望の理由です。

 

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あなたがどんな経緯、きっかけでその政策などに興味を持ったのか、どのようなことをやってみたいと思っているかを書きましょう。

 

 

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・C区で生まれ育ったため、C区の職員として恩返しの意味も込めて貢献したいと思ったからです。

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このタイプの場合、ちょっと意地悪ではありますが、必ず聞く質問があります。

・「貢献(恩返し)というのであれば、あなたが起業をして雇用を生み出し、法人税を納めていただいてもよいのですが、なぜ、職員になっての貢献なのですか?」

・「貢献をしたいということですが、それでは、今まではどんな貢献をしていただけたのですか?」

意地悪ですよね。。。実際、ほとんどの方は言い淀んでしまいます。

「貢献」というのであれば、ボランティアなどを中心に様々な形があります。職員になるということは、お金をもらうわけですので、単純な意味での貢献にはならないでしょう。

もし、「貢献」ということを強調したいのであれば、少なくとも他の貢献の仕方を比較をした上で、職員になるのが最も理想的な貢献であることを説明する必要があるでしょう。そして、そのハードルは高いと思います。正直、あまりおススメはできません。

あと「地元」ということを出してよいか、悪いかという質問をたびたび受けます。地元であることを強調することは何ら問題はありません。自分が育ち、思い入れのある地元ですから、そこで働きたいというのは自然なことでしょう。

地元の町内会のお祭りを盛り上げているような人が、地元ではない自治体を志望する方が不自然です。隣接する市を受験したりすると、面接のときに「何で地元じゃなくて、うちなの?」という質問をされるくらいです。

ただ、だから何でもよいわけではありません。当然、解決したい社会問題があったり、自分の力が発揮できる仕事があったりが必要です。

「地元が好き」+「これがやりたい」であれば、「地元」アピールはプラスになるでしょう。

いずれの書き方にせよ、基本は「あなたの目で見て、あなたらしいと感じられるES」になっているかどうかが判断基準です。それを意識して、志望動機を書いてみてください。

 

〈まとめ〉
・「志望動機」とは、「“あなた”が志し望む理由(動機)」を聞いているものなので、主語は「私」のイメージを持ちましょう。
・「貢献」という言葉を使い際には、十分に注意をしましょう。
・志望動機についても、「あなたの目で見て、あなたらしいと感じられる」かが判断基準です。