面接カード(ES)は何を意識して書けばよいのでしょうか。

 

Q.面接試験に向けて、面接カード(エントリーシート)の準備をしようと思っています。とりあえず、自分なりに書いてみたのですが、どうもしっくりときませんし、何となくこれでよいのか心配です。書くときのコツはあるのでしょうか。

 

〈今回のテーマ〉
・そもそも面接に正解はあるのか?
・面接カードに書くべき内容の方針は?

 

《最後は自分自身の判断》

 

4月上旬から、大学でエントリーシート対策講義を始めましたが、自分自身、毎回、前置きとしてお話しするのが、「これからお話しする内容は、間違っているかもしれません」ということです。

 

民間企業の就職活動の面接対策本や、学生さんを通して、様々な人のアドバイスの仕方を聞いていますが、そのアドバイスの中身や指導内容は千差万別です。

 

まず皆さんに前提として覚えておいていただきたいのは、面接対策は人によってアドバイスが変わってくるという点です。もちろん、最大公約数の内容は変わりませんが、細かなところでは、アドバイスをする人の価値観によって差異が生じます。

 

このブログに書いてある内容についても、皆さんは「疑いの目」で読むように心がけてください。しっくりくれば取り込んでいただきたいですが、他の人のアドバイスのほうが正しいと思ったときには、そちらを採用してください。

 

…そもそも面接に正解はあるのかと聞かれれば、それは「無い」というのが私の答えです。

 

絵画だって、風景画ひとつをとっても、印象派のような抽象的な要素が強いものから、写実的なものまで様々あります。ただ、どれも素晴らしい作品であることに変わりはありません。

 

ときどき、様々な人のアドバイスをすべて受け入れようとして混乱してしまっている人もいますが、上のようなことを頭に入れておけば、大丈夫でしょう。皆さんが五感で「そうか」と感じたものを取り込んでいくのが良いと思います。その選択も「個性」だと思います。

 

《面接官の視点で面接カードを捉える》

それでは、私自身の考える良いESとはどんなものか、自分なりの見解を述べていきたいと思います。

 

1.自分の目で見て、自分が書いてあると認識できるES
2.面接官にとって、読みやすく、質問がしやすいES

 

特に意識してもらいたいのはこの2点です。

 

説明の順として、今回は2.をお話ししていきたいと思います。

 

ESのアドバイスとして、「ESはあえて詳しく書かない。なぜなら、面接官に突っ込んでもらうため」という趣旨のものをたびたび目にします。これについては、一理あると思う反面、「詳しく書かない=あまり興味を引かない」になるリスクがあると感じています。

 

…第一印象というのは大切で、ESを一目見て、「この人は面白そう」と思ってもらえるか、「また、同じような話か」と思われるのでは、だいぶ違うと思います。よって、自分がアドバイスするときの方針は「情報量を多く、書けるものは全て書く」です。

 

全部書いてしまったら、それ以上、話すことが無くなると感じた人もいるかもしれません。しかし、考えてみてください。ESの記入欄に書く文章は、長くても10行程度です。自己PR、志望動機、力を入れてきたこと、いずれにしても、様々な方向から自分自身について考えていれば、10行ですべてを書ききれるはずがありません。目いっぱい書いて、面接官に興味を持ってもらい、質問をしてもらうのが良い形だと思います。

 

面接官に突っ込んでもらうというのは、高等テクニックではないでしょうか。そもそも、たとえ、面接官が想定していた質問をしてくれたとしても、本当に興味を持ってくれたかは判断が難しいところです。「内容がわかりにくいな…」と、マイナスの印象を持って聞いているかもしれません(私自身、そう感じることは多々あります)。もちろん、表情には出しません。

 

ということで、ここから先は、具体的にどのように情報量を増やしていくのかについて、触れていきたいと思います。

 

(1)情報共有を大切にする

 

?:「9年間続けてきた部活動では」

 

どんな部活をしてきたのでしょうか? これでは運動か文化系かすらわかりません。自分やあなたの友人、家族はわかっていても、面接官は知りません。当たり前のことのように思うかもしれませんが、意外とこう書いたり、話したりする人が多いです。

 

!:「9年間続けてきたサッカー部の活動では」

 

こう書いてあるだけで、印象はまったく変わります。継続して9年間本気でサッカーをしていたら、色々と鍛えられていそうです。

 

?:「飲食店のアルバイトでは」 

 

飲食店といっても、ファストフード、個人経営の焼肉屋、老舗のうなぎ屋(実際にいました)で、だいぶ行う内容も違います。そもそも、ホールとキッチンでも全然仕事は違いますよね。

 

!:「居酒屋チェーンのホールのアルバイトでは」

 

これで面接官はかなり実像に近い姿を頭の中に思い浮かべているでしょう。忙しいアルバイト、酔っ払いとかどう対応するのか、理不尽なことを言うお客もいるだろうな、など、面接官も自分なりのイメージを持って、質問ができると思います。

 

?:「私はゼミでゼミ長として共同論文の執筆の取りまとめを行い…」

 

その後に書かれた内容に、学問の中身は関係ないのかもしれません。しかし、どんな学問をやってきたのか、面接官は気になるかもしれません。

 

!:「私は財政政策ゼミのゼミ長として、消費増税に関する共同論文執筆の取りまとめ…」

 

こう書けば、面接官の質問の選択肢が増えます。選択肢が増えれば、面接官が少しでも興味の引かれる内容について質問できます。

 

(2)+αのキーワードを入れる。

 

?:趣味…映画鑑賞

 

!:趣味…映画鑑賞(年間100本程度)

 

もし、記入欄が小さかった場合も、なるべく「+αのキーワード」を入れるよう心がけましょう。ほんの一言で興味がわきませんか?

 

?:特技…テニス

 

!:特技…テニス(高校3年時県大会ベスト16)

 

?:特技…ピアノ

 

!:特技…ピアノ(5歳から現在まで)

 

よくよく聞いてみると、高校や大学の部活動(サークル)などで、結果を出している人もいます。結果そのものではなくても、幼いころからピアノを続けているとか、やっていない人からすると、素直にすごいと思いますし、なぜそんなに続けられるのだろうと感じます。スポーツもそうですよね。結果を出したかどうかだけではなく、毎日朝練に自主練と続けられるエネルギーはすごいです。

 

本人は「いや、大したことないので…」とか、「大学入ってからはやってないので…」と言うのですが、「じゃあ、友達が甲子園まであと一歩だったと聞いたらどう思う?」「5歳から高校生までバレエやってたって聞いたらどう思う?」と聞くと、「すごいと思います!」という反応。自分のことは当たり前に感じてしまいがちですが、他の人からすると、意外とすごいことかもしれません。自分のやってきたことを、冷静に評価してみましょう。

 

あらためて全体の話ですが、自分が面接指導の際に意識することは、「面接官の視点に立つ」ことです。まず面接官は民間にせよ、公務員にせよ、決して人事だけが担当するのではなく、他の部署から人を借りてくることが一般的です。

 

当日、その場でESに目を通すことも普通にあります。通常業務を抱えている面接官が、パッと見て、斜め読みでも書いてある内容が何となくわかるように、そして、その場でキーワードだけ拾って、サッと質問ができるES、これが私の考える良いESの方針です。意外とキーワードを入れるだけでも、その人の「個性」が出て、他の人と差別化もできます。

 

冒頭に述べたように、この方針が正しいかどうかはわかりません。もし皆さんが共感する部分があったら、ご自分のESをこの基準で見直してみてください。

 

…実は今回のエントリー、まだ1/3程度の中身です。今度は

 

1.自分の目で見て、自分が書いてあると認識できるES

 

について、整理してみたいと思います。

 

〈まとめ〉
・面接のアドバイスは人によって異なります。すべて受け入れようとして、混乱しないように。
・面接官と情報共有ができるような書き方を心がけましょう。
・「+アルファのキーワード」で、より質問がしやすい内容にしていきましょう。