社会人からの転職は不利ですか?

Q. 現在、企業に勤めていますが、公務員への転職を考えています。社会人からの転職は、新卒に比べて不利でしょうか。また、おススメの試験などはあるのでしょうか。

 

〈今回のテーマ〉
・現役大学生と社会人経験者を比較したとき、試験の有利、不利はあるか。
・社会人経験者におススメの公務員試験にはどのようなものがあるか。

 

《現役大学生よりもむしろ有利!?》

予備校の受講生などからも、「やっぱり、面接は新卒の方が有利なんですよね?」と聞かれることがありますが、結論から言ってしまうと、新卒か社会人か、さらに、新卒か既卒かはほぼ無関係と言ってよいでしょう。

一昔前は、たしかに一部の省庁が新卒や比較的年齢の若い社会人を優先していたかなという感じはありますが、現在、そのような傾向はほぼ感じられません。

皆さん、意外に思うかもしれませんが、どの自治体や省庁もバラつきはありますが、新卒の大学生が全体に占める割合は50%未満ではないでしょうか。

つまり、半分程度は既卒や社会人経験者が占めることになります。実際に20代後半の内定者もまったく珍しくありません。

これはあくまで自分の肌感覚なのですが、中で働いている人間に聞くと、即戦力としてバリバリと働いてくれる人材が欲しいという印象を受けます。

そもそもの話として、今のような売り手市場では、「新卒ではないと…」などと選り好みをできるような情勢ではありません。

ある人事担当と話したときには、「とりあえず、社会人としての最低限の基礎ができていてくれれば、まずはそれで十分」と言っていました。以前お話しした通り、内定辞退も多いため、まずは人材確保をといったところでしょうか。

では、社会人経験者が、新卒の大学生と比べて、注意すべき点は何か。一言で言ってしまえば、「仕事」の話がどこまでできるかでしょう。

もちろん、志望動機ややりたい仕事など、共通の質問もありますが、そこに前職について

・仕事で得たもの(経験、スキルなど)

・仕事への取り組み方(対人関係、チームとして)

・なぜ仕事を辞めようと思ったのか(もしくは辞めたのか)

・なぜ一度、民間企業を目指したのか(もしくは、なぜ辞めてまで公務員を目指したのか)

先ほども触れたように「即戦力」を期待されるとなれば、学生さんと同じレベルでは、相対的な評価が低くなります。

面接対策などをしていると、社会人経験者の方はやはり表面上の受け答え、応対には慣れている印象を受けます。だからこそ「面接は大丈夫!」と安心しているのか、意外と自分自身のことを整理しきれていない方も多いです。

例えば、「チームで仕事をする上で最も重要なことは?」と聞かれて、パッと自分なりに的確な答えが返せるでしょうか。

前職での話をしっかりと整理して、十分なPRをしたいところです。そうすれば、一定以上の評価を得られるでしょう。

 

《まずは「教養試験」のみの試験にチャレンジ》

公務員試験は国家公務員の試験、都道府県の職員、警察官や消防官などの公安職など、多種多様です。もちろん、志望先が決まっている方は、その試験に合わせた勉強をすればよいです。

しかし、「何となく公務員」なのであれば、少ない勉強量で受験ができるようにしたほうが良いでしょう。まずは「教養試験」のみで受けられる試験をおススメします。

詳しくは以下のエントリーを確認してもらえればと思いますが、教養試験というのは、簡単に言ってしまえば、高校生までの範囲、つまり、大学受験と同じような内容が問われる試験と思えばよいでしょう。

公務員試験に興味がありますが、何から始めれば良いですか?

大学受験と大きく異なる点と言えば、「数的処理」という中学受験の算数のような問題が、配点の40%近くを占める点です。大学受験と言えば、メインは英語ですが、公務員試験のメインは数的処理です。

大学受験を経験された方であれば、昔の記憶をたどり、配点に合わせて、英語、現代文、社会、理科などの科目を勉強しつつ、新たに数的処理を勉強(試験によっては時事問題も)すれば、ペーパー試験の対策は可能です。

教養試験のみで受験できる試験として、代表的なものを挙げていきましょう。

・東京都Ⅰ類B(新方式)

http://www.saiyou2.metro.tokyo.jp/pc/selection/news.html

・神奈川県秋季チャレンジ

http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f4729/p13033.html

・横浜市

http://www.city.yokohama.lg.jp/jinji/daigaku/

・国立大学法人

http://ssj.adm.u-tokyo.ac.jp/recruit/flow/

・多くの政令市以外の市役所

・多くの警察官、消防官などの公安職

この他にも近年では、一部、道府県庁や政令市なども教養試験のみで受験できる自治体や、神奈川県の秋季チャレンジのように、一般の試験とは別枠の試験があります。

また社会人経験者採用枠も国や自治体で用意されています。以下は代表例になります。

国家公務員(経験者採用試験情報を参照)

http://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/top_siken.htm#keiken_label

東京都(キャリア活用採用選考)

http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/07/07/01.html

特別区(東京23区)

http://www.tokyo23city.or.jp/saiyo/kei_annai/keiken_top.htm

 

専門性を求められる試験もありますが、基本的に教養試験のみで受験できるものが多いです。志望される自治体があるようであれば、確認をしてみるとよいでしょう。

 

〈まとめ〉
・社会人経験者が不利ということはありませんが、「仕事」について問われたときに十分な答えができることが重要です。
・勉強量が少なく済む、「教養試験」のみで受験できる試験がおススメです。
・自治体によっては、社会人経験者枠が用意されているケースもあるので、チェックをしてみましょう。