なかなか勉強に集中して取り組めません。

Q. 試験が近づいてきていて、勉強時間を増やしたいと思っているのですが、なかなか勉強に集中して取り組むことができていません。何か良い工夫はあるでしょうか。

 

〈今回のテーマ〉
・どのようにして勉強時間を増やしていけばよいか。
・集中して勉強に取り組むためにはどうすればよいか。

 

《仕事量=単位時間当たり仕事量×時間》

試験が近づいてくれば、それだけやらなくてはならないことも増えてきますが、それに合わせて勉強時間が長くなり、疲れ切っている人もたびたび目にします。

当然のことながら、長時間集中力を保ちながら勉強に取り組むことができれば理想です。実際にそれを実現している人もいます。

しかし、個人差もあります。無理をして体調を崩してしまえば、数日勉強もできなくなりますし、そこでさらに無理を重ねても、勉強が身につくとは思えません。

実際に無理を重ねて追い込みすぎて、過労で倒れた人や、メンタル面で受験そのものを諦めた人も見てきました。そうはなってほしくないというのが私の願いです。

そこで少し意識をしてみてほしいのは、「時間」を増やす以外に、「得点力」をアップする方法は無いかということです。

皆さんの目的は長い時間勉強することではなく、試験のときに合格できるだけの「得点」を得ることです。

数的処理の「仕事算」でこんな式があります。

「仕事量=単位時間当たり仕事量×時間」

要するに「勉強量=勉強効率×時間」ですので、いかにパフォーマンスを上げるかという視点も意識をしてほしいのです。

決して「勉強時間が短くてよい」という意味ではありません。「×時間」も重要な要素です。

言葉にしてまとめれば、「自分自身のキャパシティーの中で、無理のない最大限の時間を確保し、目的意識をはっきりとした集中した勉強を心がける」といったところです。

比較的よくある質問は、「試験直前期って、みんな1日どれくらい勉強しているんですか?」や「周りの人は毎日休みなく勉強しているんでしょうか?」です。

実際に予備校や大学で見ていると、大学の授業が無く、アルバイトも辞めて、1日中フリーであれば、1日10時間程度の勉強はしている印象です。それぞれ適度な休憩を入れながら、朝、昼、夜と勉強している感じでしょうか。

毎日勉強をしているという人もいますし、日曜日だけは休みにすると決めている人もいます。

このあたりも人それぞれではありますが、「自分自身のキャパシティーの中で、無理のない最大限の時間を確保」というところにつながります。

例えば、「土日は午前中に集中して勉強をして、午後からは遊びに出かける」という人もいますし、「毎日勉強をするけれど、その日のノルマを終えたら、あとは自由時間にする」という人もいます。

適度な負荷は良いと思いますが、気持ちや体が壊れるほどの負荷はトータルで見たときに決してプラスにはなりません。そのあたりを見極めながら、自分なりの「自分自身のキャパシティーの中で、無理のない最大限の時間を確保」を見つけると良いのではないでしょうか。

 

 

《「ゆるい時間管理」と「スイッチの入れ方」》

世の中には「時間術」や「集中力向上法」の本が数多く出回っており、その方法も多種多様ですので、自分自身に合った方法を取り入れていくのがよいと思います。

ただ、パフォーマンスの上げたかについてはまだ何も触れていませんし、時間についても先ほどの話だけではあまりに抽象的かと思いますので、参考までに私自身が意識していたり、実践していたりすることを少し触れてみたいと思います。…あまり参考になるか自信はないので、話半分で聞いてみてください。

(1)就寝前のプランニング

いざ勉強をする段階になって、「数的処理をやる」など、科目は決まっているものの「でも、参考書を読み返そうか、新しい問題を解いてみようか…。まあ、とりあえずはいつもの問題集をやってみようかな」と、その日、いつ何をやるか、その場で決めているなんてことはないでしょうか。

その迷っている時間がもったいなかったり、他にやらなくてはいけないことがあるような気がして気になってみたり、どこまでやって終わるかが決まってなかったり…。いずれも、集中力を欠くことにつながります。

個人的には、やるべき課題が事前に明確に決まっていれば、あとはそれをやるだけですので、集中して取り組むことができると思っています。

私自身の場合、就寝前に10分くらいで翌日にやる具体的な仕事や勉強の内容、そして、プライベートでやるべきことも、時間帯と合わせて記録しています。1日フリーな日に家で仕事をする場合、一例としてはこんな感じです。

・数的処理模試作問2問(テーマA、B):(朝)

・ブログ執筆(○○について):(朝)

・自然科学テキスト校正(第N章):(昼)

・ジョギング30分:(夜)

・中学受験問題集を解く(テーマX):(夜)

具体的な内容も含めて、何をやるかまで決めておくと、朝、起きた段階で、もうやるべきことは決まっており、あとは取り組むだけなので、楽にスイッチが入り、気持ちよくスタートが切れます。そして、やることが決まっているので、あとは集中して取り組めます。

勉強でも前日の段階ではっきりとして目的意識を持って、自分が何をやるべきかを具体的に決めておけば、迷うことなく集中してスムーズに1日を過ごせるのではないでしょうか。

また、詳細な時間までしっかりと決めてもよいのかもしれませんが、そこまで決めすぎると、時間に縛られすぎるのが窮屈なので、自分自身は(朝)、(昼)、(夜)くらいのゆるい決め方にしています。

ちなみに就寝前に、リストアップした内容について、振り返りも合わせて行います。だいたいはやれていますが、無理だったことは理由と書いたり、また、その日、思いついたことなども合わせて書いています。それを時々読み返して、今後につなげていきます。

受験勉強であれば、自分自身が克服できた点、まだうまくできない点、新たに浮かんだ疑問、今後の取り組みなどを「勉強日誌」のような形で軽くまとめ読み返すというのも良いかもしれません。

(2)スマートフォンのタイマー機能を利用する

何となく勉強を始める気になれず、ついつい、スマートフォンをいじっていたら、30分、いや、気がついたら、1時間近く経っていて、「ああ、時間を無駄にした…」とテンションが下がるようなことはないですか(たまに自分はそんなことがあります。時には心の赴くままに過ごすのも大切という言い訳をしてみたり…)。

不思議なもので、仕事も勉強もやり始めてしまえば、集中できるのに、始めるまでに時間がかかるという人もいるのではないでしょうか。自分はこのタイプであることを自覚しています。だからといって、「1分も無駄にしない!」と常に意識し続けるのもストレスがたまってしまうでしょう。

そんなわけで、ちょっとグダグダしたいなというときに、あらかじめ決めた自由時間、休憩時間をスマートフォンのタイマー機能で通知するようにしています。

朝一番でパソコンを立ち上げたとき、ネットで色々チェックするとき10分のタイマーを(…正直、これはもう測らずに感覚でやってますが)。仕事を控えた食事の後の自由時間を30分、就寝前の自由時間を60分(ついついの夜更かし防止)など。

もっと言ってしまえば、仕事そのものでも時々使います。「この仕事は90分で仕上げる」と意識するだけでも違ったりします。

自分だけの話かもしれませんが、やるべきことが具体的に決まっていれば、あとはうまくスイッチが入れば集中できるので、集中力を上げることよりも、「スイッチの入れ方」に意識を向けています。

何となく始めるまでに時間がかかってしまって、時間をロスしているような気がしている方は、一度、試してみてはいかがでしょうか。

(3)朝、気持ちの良いスタートを切る

最近は朝起きたら20分もあれば十分に仕事モードに入れるようになりました。起きたら、とにかく頭を体をすぐに目覚めさせるように心がけています。

自分の場合は、お湯を沸かして、ミルク入りの紅茶かコーヒーに砂糖を多めに入れたものを飲み、軽くスクワットとストレッチで目を覚まし、ゴミ捨ての日はほんの5分程度、ついでにジョギングをします。

「眠いな…」とボーっとしていると、1時間くらい平気で経ってしまうので、どうやったらうまくスイッチが入るかを考えて試行錯誤しているうちに、こんなふうになりました。

私の場合、1日のスタートがうまく切れると、何となくその日1日が気持ちよく過ごせます。前日のプランニングで午前中に重めのものを入れておけば、お昼になる頃には、やらなくてはいけないことがスッキリと片付いていることも多いです。

…少し、個人的な考えに偏っている気もしますが、全体としてのパフォーマンス向上には、ストレスをかけない「ゆるい時間管理」と、スムーズに集中モードに入れるような「スイッチの入れ方」が大切だと思っています。

試して合わなければ、すぐに止められるようなものですので、そのあたりでお悩みの方はいかがでしょうか。

自分もできているのは90%くらいで、ボーっとしているときもありますが、そのくらい緩い感じでもパフォーマンスは十分に上がると思います。

 

〈本日のまとめ〉
・「勉強時間」だけではなく、「勉強効率」にも目を向けてみましょう。
・前日に目的意識をもってやるべき勉強を決めておくと、集中力を持ってスムーズに勉強に取り組めるでしょう。
・やり始めてしまえば、勉強に集中できるという人は「スイッチの入れ方」を考えてみましょう。