ESの志望動機


今月に入ってからESの添削をする機会が増えています。今回は志望動機について、気になる点を取り上げてみたいと思います。

ESの志望動機を見ていると、以下のような思考のプロセスを経て、志望動機を書いているのだろうと感じるケースがままあります。

(1)A市を受験することを決める。

(2)A市のサイトや受験案内などで、A市のことを調べる(特にある政策や取組みが気になる)。

(3)「その政策や取組みに携わりたい」旨を志望動機として書く。

いかがでしょうか。

これが悪いわけではありませんが、具体的な政策や取組みについて明記すると、面接官はその政策に携わりたいと思った経緯や、理由について、聞くケースがあります。

以下に、過去に受験者が面接官に聞かれた質問を挙げてみます。

・〇〇について、私たちの市が先進的な取組みをしているとのことですが、あなたの住んでいる市では、どんな取組みをしているのですか?

・〇〇について、他の自治体でもやっているかと思うのですが、なぜ、私たちの市を受験したいと思ったのですか?

自信を持って答えられる方は問題ありませんが、回答に困った方は要注意です。

例えば、教育について興味を持っていて、取り組みたいと思っている方であれば、地元ではどんなことが行われているか、本来ある程度は知っているはずです。

また、各自治体とも様々な取組みをしているのは当然です。本来、「教育」という理由で志望するのであれば、いくつかの自治体を比較した上で、「この自治体は他と違う」と思い、志望するはずでしょう。

このように「政策」や「取組み」からアプローチするのは、容易ではないと感じます。

個人的には、皆さん自身の「経験」や「きっかけ」からアプローチする方が、同じ政策や取組みを取り上げるにしても、矛盾は生じにくいと考えています。

先ほどの(1)〜(3)についてですが、本来は(0)として、

(0)あるきっかけを元に公務員(A市)に興味を持った。

があるはずです。志望動機とは、「志し、望むようになったきっかけ(動機)」ですので、本来、ここを中心に書くべきでしょう。

例えば、教育であれば、過去の受験生はこんなきっかけ(動機)を持っていました。

・大学で義務教育の課題について研究している。

・家庭教師のアルバイトをしていて、教育格差を肌で感じて解決したいと思った。

・地元の小中学校の放課後学習のボランティアに参加した。

・いじめを受けた経験があり、行政の主催するワークショップに参加した。今後は救う立場になりたい。

このような経験やきっかけをベースに、あとはその自治体との縁(地元、説明会など)を加えれば、矛盾が生じる可能性は低くなります。

ESは面接のベースとなる大切な資料です。「聞かれて困ることは避ける」という基本方針を確認してください。