ESのアプローチ(抽象化)

Q. エントリーシートでバイトでの成功体験を書いた先輩は、「それだけ成功させることができるなら、バイト先(同業種)で働こうとは思わなかったの?」と聞かれたそうです。結果、今ひとつ面接が噛み合わず、その企業からは内定が貰えなかったという話を聞きました。エピソードが大切だという話は、よく聞くのですが、何か注意するポイントはあるのでしょうか。

《ただのエピソードで終わっていませんか?》

エントリシートや面接カードでは、「長所」や「頑張ってきたことを通して得た事」などについて、よく聞かれます。

これらを説明するために、たしかにエピソードは有効です。しかし、メインはエピソードそのものではなく、「長所」であり「得た事」ですので、そこを間違えないようにしましょう。

また、「力を入れて取り組んできた事」という項目があった場合も、単純に何に力を入れて取り組んできたかだけでなく、その先にある「そこで得たもの」を準備しておきましょう。面接ではよく聞かれる内容です。

その先輩についての話ですが、バイトでの成功体験を話すことは自体は、何も悪くありません。

ただ、自分のバイトに対する思いや、バイト限定の話に寄ってしまったため、面接官との話のズレができてしまったのかもしれません。

《具体化よりも抽象化》

「具体的に説明することが大切」という話を聞くことがありますが、個人的には「抽象化(一般化)することが大切」だと思います。

例えば、アルバイト先で、ある程度、責任のある立場にあったとしましょう。

高校生から、主婦、年齢の高い人まで、様々な人に指導をしながら一緒に仕事をしてきたことから、そこで培った「コミュニケーション力」をPRポイントにするとします。

このとき、そのバイト先でどういうことを考えて、様々な人と良いコミュニケーションを築いたのか、その話はもちろんするべきでしょう。

しかし、それだけですと、それは「バイト先でのコミュニケーションが上手」なだけで止まってしまう可能性があります(ここまででESや面接での回答が終わってしまっている人が多いです)。

そこで、次に「抽象化(一般化)」してみましょう。

アルバイト先で身につけた「コミュニケーション力」は、ゼミ、サークル、または家族、その他、様々な人間関係の中でどのように生かされているか。

そして、その「コミュニケーション力」のポイント(コツ)は何か、自分なりの答えを、より適応範囲の広い形で表現できるようになってほしいのです。

エピソード(具体化)はたしかに絵(イメージ)として伝えるために重要です。しかし、それが最終目的ではありません。

最終目的は、皆さん自身の価値観、心がけ、人間性など、より抽象的なものを伝えることにあります。

エピソードの先にある、皆さん自身を伝えられるように、整理をしていきましょう。