面接準備の理想形

試験直前期に面接対策をやっていると、「この人は面接に受かる」と言い切れることがあります。

当たる確率は98%以上です。今まで15年やっていて「まさか…」というケースは、片手で数えられます。

ポイントは「経験」「知識」「整理」の3点が備わっているかどうかです。

「経験」は、興味を持った事柄について、自分から何かしらのアクションを起こしたかどうかです。典型的な例としては、インターンシップやボランティアでしょう。

「地域コミュニティに再生に興味があります。」という受験生の方に「これまで地域とどんな関わりを持ってきたの?」と聞くと、答えを窮する人がいます。

その一方で、「小さい頃から、町内会の集まりに付いていって…」や「地域のお祭りの運営に参加をして…」という人もいます。地域の活動では、自治体の職員なども参加するため、それを見て、公務員に興味を持ったという人もいました。

何かしらの経験を積んで、それをきっかけにして新たな経験を積むというサイクルができている人は、非常に経験値も高く、若いながらも「キャリアを積んでいる」と感じます。

内容はゼミ活動などの学問、アルバイト、スポーツ、音楽、芸術、なんでも良いのですが、アクションを起こして様々な「経験」を積んでいる人は、評価が高くなります。

「知識」については、省庁や自治体が行っている政策について知っておく必要があります。ただし、それがすべてでありません。

例えば、観光について興味を持っているとします。もし、本当に観光に興味があるのであれば、「もっと知りたい!」と、観光ビジネスについて、広く深い情報を得ようとするのが自然です。

場合によっては、上の「経験」とも関連しますが、実際に観光地を訪れて、そこで行われている取組みについて、話を聞きに行くというようなこともしたくなるかもしれません。

自分自身、日本各地の重要伝統的建造物群保存地区を巡りましたが、その中で自治体の職員や、観光ボランティアガイドをしている住民の方に話を伺ったこともあります(ただの趣味ですが)。

大学の授業などで、「とりあえず本を10冊読めば、専門家っぽい話ができる。」と言っています。やってみたい仕事などに対しては、日頃からアンテナを張り、また、興味を持ったことは、読書などを通して、深く知ることが大切です。

これをやっている受験生の話は、やはり厚みが感じられます。

最後に「整理」ですが、せっかく経験もあり、知識もあるのに、上手に表現をできていない人がいます。

自分がこれまで考えてきたこと、なぜそれを「経験」し、なぜその「知識」を得ようとしたのか、これから仕事に就いたら、どんな課題解決をしたいと考えているのか、日頃から自分の言葉で「整理」をして、説明できるようになることが大切です。

「民間企業でこんなこともしたいし、公務員でこれもしたいし…」という迷いがあっても全く問題はありません。きちんと「整理」をして、こういう理由で迷っているという説明ができれば、聞いている側は納得できます。

一例を挙げるとすれば、例えば「金融」に興味を持っている人で、金融庁にしか興味がない人はむしろ不自然かもしれません。「金融」に興味があるのなら、銀行、日銀、金融庁…などで悩むのではないでしょうか。

何かのきっかけで金融庁の職員になりたいと思った。でも、日銀で聞いた話も面白かった…。その経緯が「整理」できていれば、十分に面接官には伝わります。

様々な「経験」を積んで、その中で興味を持ったことに対して貪欲に「知識」を得る。そして、自身の歩んできた、これから歩んでいきたい道を「整理」して伝えられる。これが私の考える「理想形」です。

実際には、これをすべて満たすような受験生はなかなかいません。だからこそ、これを満たす人を見ると、「この人は面接に受かる。」と感じますし、実際に良い結果を出しています。

もし、「経験」「知識」「整理」の3点という観点で、自分自身を見たときに、この部分が足りないと感じるところがあれば、それを補ってみてはいかがでしょうか。

まずは筆記試験の勉強が大切と感じるのは当然ですが、面接試験のウエイトは高まっています。日々の生活の中で、少し考えてみてください。