面接の正解がわかりません。

 

Q.様々な本や人からのアドバイスにしたがって、面接の練習をしています。キャリアセンターで何度かESも見てもらいましたが、評価は「まあまあ」といったところで、あまり高くはありません。何が正解なのかわからず、少し混乱しています。

 

〈今回のテーマ〉
・ESに書いてはいけないことは?
・果たして面接に正解はあるのか?

 

《「これをしない方が良い」に縛られていませんか?》

 

このブログを読んでさらに混乱が生じないと良いのですが…。一応、こちらに注意書きがありますので、あらためてチェックした上で、役に立ちそうであれば、取り入れてください。

 

面接カード(ES)は何を意識して書けばよいのでしょうか。

(続)面接カード(ES)は何を意識して書けばよいのでしょうか。

 

今回のテーマのような質問は割と多くの受験生の方から聞かれます。あえて分類をすれば、比較的まじめな人ほど、すべてのアドバイスを受け入れようとして、迷ってしまっている印象を受けます。

 

そういう方には、まずESで問われている内容を「素直」に読んでみることをおススメしています。勝手に以下のような判断をしていたりしませんか?

 

(1)これまでに最も力を入れて取り組んできたこと
⇒大学時代(もしくは社会人に入ってから)のことを書いたほうが良い。

 

(2)これまでで成果や達成感を得たこと
⇒グループで行ったことを書いたほうが良い。

 

(3)短所
⇒長所の裏返しを書いたほうが良い。

 

よく見られる内容を取り上げてみました。「これのどこが間違っているの?」と思った人も多いのではないでしょうか。以下で、ひとつずつ整理していきたいと思います。

 

フリー写真素材ぱくたそ

 

(1)これまでに最も力を入れて取り組んできたこと

 

設問には「これまで」としか書かれていませんので、高校時代のことや、もっと昔のことでも構わないと指導しています。

 

今年の話に限っても、高校時代にラグビーで東日本の代表までいったとか、山岳部で自分は控えだったけれどインターハイ優勝だったとか、せっかく頑張ってきたことがあるのに、「高校時代のことなので…」と、書くことに躊躇していた学生さんがいました。

 

彼らに「じゃあ、友達が、控えだけど甲子園に出たって言ったら、どう思う?」と聞くと、「すごいと思います」と言っていました。なかなか自分のことで書こうとすると、余計なことを考えてしまいがちですが、素直に頑張ってきたことは頑張ってきたと言っていいと思っています。

 

こういう例を挙げてしまうと、何か特別な結果を出さなければ話せないと誤解されそうですが、決してそうではありません。体力的にきつい部活を長年続けてきたこと、音楽、書道などの活動を幼い頃から続けてきたこと、私は素直にそういう人を尊敬します。

 

自分自身は本当に飽き性で、様々なことに興味を持ちますが、途端に「まあ、そんなに突き詰めてもしょうがないし…」とすぐにやめてしまいます。今の講師という仕事を継続的に続けられている以外、長く続けてきたことはありません。

 

以前、高校に入るまでバレエをやっていたという学生さんに、「でも、高校入ってからやってないですし、大丈夫ですか?」と言われましたが、高校や大学に入り、新しいことをやってみたくなることはごく自然なことですよね。そして、一番頑張ってきたことが、それまでのバレエであっても、何も矛盾をするわけではありません。

 

素直に「あれは頑張った」と思えることで、面接官が興味を持って聞ける話(とても大切なことです)をすれば良いでしょう。

 

ただし、「ここ最近は何か力を入れて取り組んでいることはありますか?」という質問への答えは用意をしておいてください(すべての典型的な質問に対して「他には?」の答えは1つ用意しておくことをおススメします。)。これも今、頑張っていることを素直に答えればそれでよいでしょう。

 

(2)これまでで成果や達成感を得たこと

 

グループでやったことをアピールすることが大切という話をよく聞きます。これは間違っていません。一昨年くらいに某都道府県庁の管理職に「関野さんのような人間は採用したくない(笑)」と言われました。チームで仕事をするのに向いていないとの判断だそうです…。

 

公務員、民間企業に関わらず、組織で働くには「フォア・ザ・チーム」という価値観が重要になることは間違いありません。それを面接の際にアピールすることが大切という点も理解できます。

 

しかし、これについても「組織で」という文言がない以上、「個人」の話を書いても構わないと言っています。

 

一昨年、「陸上部で会計係を…」と言っていた人がいました。「競技は何を?」と聞いたら、「100mです」との答え。「タイムは?」と聞くと、「10秒5です」と。「…!!」。よくよく聞いてみれば、4×100mリレーの大学生レベルの選手権の優勝者でした。

 

おそらくこれを読んだ方は皆、会計係の話より、そのレベルで戦える人の自分の磨き方の話が聞きたくなると思います。

 

どうしてもわかりやすいスポーツネタが多くなってしまいますが、他にもたくさん今まで話を聞いてきました。

 

演奏会で重要なソロパートを担った人、演劇をやってきた人、芸術に向き合ってきた人、大勢の聴衆の前でプレゼンや発表を行った人、個人で研究や論文に取り組んだ人…

 

これについても、自分自身が素直に成果や達成感を感じたことについて、述べていけばよいのではないでしょうか。私自身は、磨かれた個人が集まってこその良いチームだと思っています。面接官も皆さんの個人としての頑張りをきちんと評価をしていると感じます。

 

面接官は、皆さんのことを部下に持ちたいか、一緒のチームで働きたいかという点を意識した上で採用面接を行います。もし、面接官が皆さんのチームでの話を聞きたければ、「それでは、〇〇さんは、チームで何か達成感を得たことはありますか?」と聞いてくるはずです。あまり深読みせずに、自分が素直に感じたことを書いて、話しやすいESを作るのも手でしょう。

 

(3)短所

 

例年、長所の裏返しのような短所を述べて、面接官に「それって、長所ですよね?」と言われたり、「それで失敗したことは?」 と聞かれて答えに窮したという話を耳にします。短所も公序良俗に反しない短所を素直に言えばよいでしょう。

 

人間ですから、短所の一つくらいあるわけですし、面接官をやっている人も自分の短所を自覚しているはずです。自覚していて、直す努力もしようと思っていて、それでも直し切れないものがあれば、それを伝えて悪いことはないでしょう。

 

高校時代に人と話すのが苦手で、大学に入ってからあえて接客業のアルバイトを選んだという話を時々耳にします。苦手なことにチャレンジする姿勢そのものがとても良いと思います。

 

まだ人と話すのが得意とは言えないけど、昔に比べればだいぶ改善している。たしかにその人にとってはまだ短所なのかもしれませんが、短所と自覚していて、修正しようと試みていればそれで十分ではないでしょうか。

 

面接官はもちろん短所そのものを聞いてみたいのもあるでしょう。しかし、それ以上に、必ず誰もが持っているはずの短所に対して、どのように心がけているか、そんな自分とどう付き合っているか、その人の中身(価値観)を見たいと思っている。そんなところも意識してみてください。

 

公務員、民間企業を問わず、説明会で人事の方が「素直に質問に答えてほしい」や「ありのままのあなたで面接を受けてほしい」と言うのを聞いたことがありませんか。採用担当者と話をすると、「みんな似たようなことばかりを話す」というセリフを耳にします。

 

面接官は皆さんの中身を見て、採用の可否を判断しようとしています。面接の正解を探しすぎて、自分の中身を見せることができないというのは、相応のリスクがあることを意識してください。

 

自分自身を見つめて、皆さん自身のことを自信をもってしっかり表現できるようになってほしいです。

 

〈まとめ〉
・面接に正解はありません。
・自分自身を見つめて、自分のことを自信をもって素直に答えましょう。