話すのが苦手で、今から面接が心配です。

Q. 筆記試験に向けた勉強を進めていますが、元々、話すのが苦手で、今から面接が心配です。今のうちから何かやれるようなことはあるでしょうか。

〈今回のポイント〉
・話すのが苦手な人は、何から始めればよいか。
・話す技術を向上させるためには、どうすればよいか。

 

《まずは毎日の積み重ねから》

近年の公務員試験は、面接のウエイトが非常に高く、テストの点数で逃げ切ることは基本的にはできないと思っておいた方が良いでしょう。

おそらく面接の重要性は皆さんよく知っていると思うのですが、どうしても面接が苦手な人ほど、面接対策を後回しにしがちな印象を受けます。

苦手の程度にもよりますが(普通に目上の人とコミュニケーションが取れれば、そんなに気にする必要はないと思います)、気になる人は早めの準備をしておくとよいでしょう。

具体的には何をすればよいかですが、面接で必要なのは「話す技術」と、その「内容」ですが、今回は「話す技術」について触れてみたいと思います。

まずは、技術より先にある「話す」ことそのものについてですが、そもそも本当に人と話すのが苦手という人は、「話す」機会を増やすところから始めましょう。面接カードの中身をどれだけ優れていても、それを口に出さなければ、伝わりません。

実際に大学で実践してくれた学生さんもいたのですが、本当に人と話すのが苦手な人は、コンビニの店員さんに「袋、もらえますか?」でも、飲食店の会計時に「ごちそうさまでした」でも、構わないので、毎日積極的に自分から人に話しかける機会を作ってみてください。できれば、相手の目をしっかりと見ましょう。

「そんなことをしたところで…」と思う人もいるかもしれませんが、苦手なまま何もせずに過ごすのと、毎日少しでも自分から話そうと心がけるのでは、積み重ねが全く違います。

恥ずかしいと思う人もいるかもしれませんが、「袋、もらえますか?」も「ごちそうさま」も、あちらからすれば日常茶飯事ですから、特に気にも留めないでしょう。目を見て話しかけられることもいたって普通のことです。

勉強を一歩ずつ積み重ねることと同じです。面接対策やったから、急に話せるようになるわけではありません。話すことに苦手意識を持っている人は、ぜひ実践してみてください(相手に迷惑をかけるようなことはダメですが)。

また、「話すのは苦手」と言っている人でも、実は話すことそのものが苦手なのではなく、相手が知らない人だからとか、面接などの緊張感のある場所だからなど、「萎縮」してしまって話せないという人も多い印象を受けます。目を見て話すのが苦手というのもこれに含まれるのかもしれません。

「友達とは普通に話せているけど…」という人は、大丈夫です。話すことそのものが苦手なわけではありません。もし、「萎縮」してしまう自分がいるようであれば、ぜひ、日頃から積極的に話す機会を作ってみましょう。目を見て話すのも、日々繰り返していけば、特に難しいことではありません。

大学で学生さんと面談をしていて、「高校時代は本当に人と話せなかったので、接客業をアルバイトに選びました」という話を何度も聞きました。苦手なことを克服しようというその心持ちにいつも感心します。

そして、彼らは決して話すことが得意になったとまではいかなくても、面接でしっかりと合格しましたし、社会人として十分なコミュニケーションスキルを身に着けていました。

せっかく一次試験を合格しても、面接で結果を出さなければ、最終合格にはつながりません。苦手意識がある人は、いつかは必ず克服しなければいけないものですので、早めの準備を推奨したいと思います。

 

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《ルールを決めて、短くコンパクトに》

次に技術的な話もしていきましょう。よく受ける相談としては、「どうしても話が長くなってしまう」とか「何から話せばよいのかわからない」など、話す内容は決まっているのに、それをどう表現(アウトプット)すればよいかわからないというものです。

そのあたりが苦手な人は、ぜひ次のルールを心がけてみてください。

「1行結論、2~3行説明」

この形にパッケージングして、話すように心がけると、話す方も話しやすくなりますし、何より聞き手が理解をしやすくなります

よくあるのが、丁寧に(もしくは熱意をもって)説明をしようとするがあまり、説明に説明を重ねて、そのうち何を話しているのかゴチャゴチャになってしまうというケースです。せっかく丁寧に話そうとしても、わかりにくくなってしまっては本末転倒です。

面接というのはキャッチボールですので、そこまですべてを話さなくても、面接官が質問してきたメインの内容について答えれば、さらに聞きたいことは、再度、相手が聞いてくれます。全部話す必要はありません。

話すのが苦手という人は、「型」を持っていないから、どう話せばよいかわからないのではないでしょうか。

「型」にはめる形で、一例を挙げてみたいと思います。

Q. そもそも県の職員になろうと思ったきっかけは?

A. 〔結論〕大学のゼミで○○について学んだことがきっかけです。〔説明〕○○について学んだ際に、××という問題を解決したいと思いました。民間企業で△△として働くことも考えましたが、説明会などに参加するうちに県職員として携わりたいと思いました。

いかがでしょうか。話す方としても話しやすい形で、聞き手も処理しやすい順序と分量になっている感じがしませんか?

必ずこれに100%従わなくてはならないわけではありませんし、単純な質問であれば、結論のみの1行、熱く語りたいないようであれば、もっと話しても良いと思います。

ただし、何らかの「型」を自分の中に持っておくと、いつもそこに入れるだけ済むので楽です。アレンジは「型」ができてからで十分です。まずは基本通りにやってみましょう。

想定される質問について、「型」に入れる形で話す練習をして行けば、一人でも十分に話す技術を向上させることができます。

ぜひ、練習をする際には、動画や音声で自分が面接官から見てどのように見えるのかも確認してみてください。話すスピード、聞きやすさ、姿勢など、面接官の目で自分をチェックすると、より効果的です。

〈まとめ〉
・話すことそのものが苦手な人は、日々の生活の中で、積極的に相手の目を見て話す機会を増やしましょう。
・「1行結論、2~3行説明」のような「型」を持ちましょう。
・面接官の視点で自分を見ると、より効果的に話す技術が向上します。