英語が苦手です。公務員試験で英語の足切りはありますか?

Q.国家公務員試験の受験を考え、試験科目をチェックしたところ、教養試験(基礎能力試験)の科目に英語がありました。指定校推薦で大学に進んだため、大学受験を経験しておらず、英語も苦手なまま今に至ります。やはり、大学受験並に英語は必要でしょうか?足切りの点数があれば、教えてください。

〈今回のテーマ〉
・公務員試験の足切りラインは?
・苦手科目にはどう対応をするか?
・点数を意識した学習プランとは?

 

 《公務員試験はごまかしがポイント》

 公務員試験の受験科目を見ると、げんなりした気持ちになりますよね…。ちなみに国家公務員一般職(各省庁のノンキャリア官僚)試験は、次のように基礎能力試験(教養試験)は次のようになります。

 

 

 

 実際にはこれに大学で学習するレベルの専門試験が加わります。私自身、「うわ、センター試験よりきついな」というのが第一印象でした。

 

 それでは、この広範囲な出題内容に対して、どのように対応していくかですが、実は質問者さんへのお答えが公務員試験攻略へのカギになります。

 

 まずは安心してください。文章理解の英語での足切りはありません。0点でも大丈夫です。自然科学の3題も0点で構いません。もっと言うと、知識分野13題が0点でも大丈夫です(もちろん他で取れればですが)。

 

 一般に公務員試験では、「基準点」と表現される足切りの点数がありますが、基礎能力試験(教養試験)全体での足切りの点数はありますが、その中の各科目での足切りはないのです。これは専門試験も同じです。

 

 ちなみに国家公務員試験の場合は、人事院のサイトで基準点の算出方法や、以下のように試験結果に記載されています。公開されていない試験もありますが、足切りラインは30~40%、40題の試験で12~16点と思っておくとよいでしょう。

http://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/heikin/heikinten.htm

 

 質問者さんは英語の5問程度を捨てたとして、専門試験の出来にもよりますが、20~24点程度(※試験によりますが目安としての合格ラインは50~60%)は取れそうですか?他でカバーができれば、英語はまったくできなくでも大丈夫ですよ。公務員試験はできないところを「ごまかせる」そんな試験です。

 

 

《大きな壁は「乗り越える?」それとも「逃げる?」》

 皆さんに「理想的な勉強方法は?」と聞かれれば、「すべての科目をしっかりやりましょう」と答えると思います。それが一番良いことは間違いありません。しかし、働きながら勉強をしていて時間がなかったり、どうしても苦手な科目があるなど、すべての科目で成果を出すのは実際には難しいところです。

 

 それでは、皆さんがすべての科目を完璧にやらずに合格するためには、どうすればよいか。ぜひ、自分の得意・不得意がわかってきたら、目標とする点数を先に決めてみてください。

 

 試験によって異なりますが、一般に専門択一試験と教養択一試験の両方が課される試験では、専門択一試験で7割、教養択一試験(基礎能力試験)で6割あれば十分に合格できます。

 

 上に挙げた国家公務員一般職試験の基礎能力試験の配点で、6割弱の23点を取るためのプランを考えてみましょう。

 

 いかがでしょうか。最初から「無理だ!」とわかっているところは切りつつ、実際には一通り勉強してみて、「この科目は得意そうだな」とか「これはつらい…」などやっていきながら、目標を決めていくことになると思います。

 

 目標点数が取れそうになければ、いずれかの科目で「乗り越える」ことが必要になります。それも何とかなりそうな科目と、どうしても克服できそうにない科目があると思います。それを見極めながら、目標を立てていくとよいでしょう。

 

 私の場合はプランCでした。今でも暗記はとにかく苦手です…。公務員試験の勉強を始めるのが遅かったので、全部やっては間に合わない。教養試験は得意な数的処理(数的推理・判断推理・資料解釈のこと)と文章理解に依存して、ほとんどの時間を専門科目に回してやりくりをしました。自分が公務員試験に合格できたのは、明らかに数的処理の配点が大きかったからです。

 

 配点が大きい重要科目は、「乗り越える」ことが強調されますが、その中でも簡単なところだけを拾い、それ以外は「逃げる」こともできます。皆さん自身の得意・不得意を見極めながら、限られた時間の中で、より多くの得点が取れるプランをぜひ考えてみてください。

 

〈今回のまとめ〉
・基準点(足切り)は教養試験全体としてはありますが、科目ごとには特にありません。
・苦手科目は「乗り越える」だけではなく、「逃げる」ことも考えてみましょう。
・目標点数を決めたうえで、「乗り越える」と「逃げる」を判断しましょう。