経済学を切りたいです。

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Q. これまで各科目を勉強してきましたが、どうしても、経済学が理解できません。勉強してもなかなか伸びないので、どうすべきか悩んでいます。切ってしまうのは無理でしょうか。

〈今回のポイント〉
・科目を「切る」ことは可能かどうか。
・科目を切るときに考慮すべきポイントは何か。

 

《第一志望の出題数を考えましょう》

経済学以外にも、「民法がきついのですが…」など、科目を切りたいという相談はよく受けます。

試験までまだ半年から1年あれば、「もう一度、基本からやってみましょう」という話をしますが、一通りやってもダメで、残り半年を切っているような状況では、「切る」ことも視野に入れるようにアドバイスします。

今までのブログでもたびたび取り上げていますが、公務員試験はある程度、ごまかしのきく試験です。取れるところで取って、切れるところは切るという戦略が成立します。

ただ、試験ごとに出題される科目や問題数がそれぞれ異なるため、科目ごとに「切る」「切れない」の判断がしづらいのが実際のところでしょう。

自分自身でそのあたりの判断をするためには、まず第一志望の出題数を確認してみましょう。

…というだけでは、不親切ですね。直接アドバイスをするときには、細かなプランニングをしますが、杓子定規に言えば、以下のようになります。

国家一般職(ミクロ5、マクロ5):科目選択のため、他の科目でカバー可能です。もし、片方だけでもできそうであれば、ミクロだけ、マクロだけの学習でもよいでしょう。

国税専門官(経済学6、専門記述でも):民法・商法、会計学は必須解答ですが、他は科目選択のため、他でのカバー可能です。専門記述も同様です。

裁判所職員一般職(経済原論10):刑法を選択すれば、カバー可能です。ただし、刑法は他の試験ではあまり使わない科目です。過去問のレベルもチェックしたうえで、どちらを選択するか考慮しましょう。

東京都Ⅰ類B(専門記述で出題):科目選択のため、カバー可能です。10科目中3科目ですので十分に切れます。そもそもI類B新方式にすれば、専門記述から逃げることも可能です。

特別区Ⅰ類(ミクロ5、マクロ5):「40問/55問」の問題選択のため、他でカバーも可能ですが、問題選択である点がポイントです。ミクロの中から2問だけ解くなども可能ですので、出来る範囲で勉強をするのも有効です。

地方上級(全国型・関東型などで異なる):10題以上の出題で選択の幅も狭い(必答の試験も)ため、経済学を切るのは厳しいでしょう。

第一志望については十分知っているという方は、ぜひ併願先も含めて切ろうとしている科目がどの程度重要かを確認しておきましょう。併願の幅がなるべく狭まらない方が理想です。

今回は経済学を一例として、紹介してみましたが、他の科目についても、各試験での問題の出題数を確認したうえで、以上のように考えてみてください。

《科目数を絞ったプランを考える》

これから試験勉強を始める方向けのお話もしておきたいと思います。予備校では11月開講や12月開講のクラスもありますが、初回で受ける質問として多いのが、「これから勉強をして間に合うのでしょうか」という内容です。

授業のスケジュールもタイトではありますが、毎回の講義を受講して、しっかりとポイントを押さえた復習をこなしていけば、合格は十分に可能です。

古い話になりますが、私自身、勉強を始めたのが大学3年生の12月で、同じ時期に勉強を始めた人たちも普通に合格していました。

ただ、余裕があるかといえば、正直、厳しかったです。わからない科目をもう一度ゼロベースで勉強するほどの時間はありませんでした。躓いている暇はないという感じでしょうか。

そうなってくると、勉強の早い段階で「この科目は試験までに間に合わないかも…」と見切りをつけることも必要になってきます。自分の場合、確実に点数を取りたい科目を最優先で仕上げ、取れたらよいなという科目は後回しにしていました。

勉強の進捗状況を確認しながら、科目の取捨選択を決めていくのも良いのですが、あらかじめ科目数を絞ったプランを考えるというのも一つの戦略です。

例えば、法学部出身の方であれば、「法律+教養科目」で受験可能なところを考え、必要に応じて科目を追加するということも可能です。

例として、東京都I類B(憲法+民法+行政法+教養科目)、裁判所職員(憲法+民法+刑法+教養科目)、市役所・国立大学法人・警視庁などの公安職(教養科目のみ)というプランをあらかじめ立てておけば、専門科目の勉強は絞れます。

そこに例えば、政治学、行政学、社会学、経営学を加えることができれば、特別区や国家一般職も視野に入れることができます。

時間は有限です。あらかじめ科目を絞ることで、少ない科目に多くの時間を割いて特定の試験で合格をする確率を上げるというのも、一つの有効な戦略だと思います。

ただし、科目を絞れば絞るほど、選択の幅は狭まります。これが留意すべきリスクです。

例えば、国家一般職では8科目ギリギリしか用意をしていないと、どれか1科目でも難易度が高かったときに逃げ道がありません。理想は10科目は用意したいところです。

特別区も同様です。40問分しか用意していなければ、薄く広く勉強をしている人に比べると厳しいでしょう。単純に科目で絞るのではなく、薄く広く基本的な問題は拾えるようにしたいです。

時間に余裕があれば、すべての科目を完璧に。これが理想であることは間違いありません。ただ、なかなかそうはうまくいかずに悩んでいる方もいると思います。ぜひ、受験する試験に合わせて、ベストなバランスを考えてみてください。

 

〈まとめ〉
・苦手科目を切るときは、志望先でのその科目の重要度を確認しましょう。
・その科目を切ることによって、併願にどの程度の影響が出るのかを確認しましょう。
・理想は幅の広い学習です。絞ることによるリスクも留意した上で、合格のためのベストバランスを考えてみましょう。