あるサッカー選手がペナルティーキックを蹴るとき、ボールがゴールに入る確率は 2/3 である。この選手がペナルティーキックを 5 回蹴るとき、ボールが3 回以上ゴールに入る確率として、正しいのはどれか。
1. 160/243
2. 56/81
3. 176/243
4. 184/243
5. 64/81
H27東京都I類Aからの問題です。解説を読む前にまずは5分ほど時間を取って解いてみましょう。
確率が苦手な方からは、「解説を読んでいると、色々な解き方があって、まず何をすれば良いかわからない」という声を聞きます。
しかし、意外かもしれませんが、「確率」は数的推理の分野の中でも、解答方針の立てやすいテーマです。
「確率の解答方針」を簡単にまとめてしまえば、以下の通りです。
本問であれば、「3 回以上ゴールに入る」ですので、これを一度に出すのは厳しそうです。こんなときには、躊躇なく場合分けをしましょう。難しい問題も分けて考えれば、簡単に処理できるようになります。
そうすると、「3回ゴール」、「4回ゴール」、「5回ゴール」を求めればよい…といきなり判断してしまいがちですが、1点注意があります。
場合分け行う際には、「ストレート」で解くか、「余事象」で解くかを必ず検証する癖をつけましょう。
本問であれば、以下のような図を軽く書いて考えてみたいところです。
問題の設定をそのまま「ストレート」に読み取って場合分けをするのと、「余事象」で場合分けをするのと、どちらが楽かを比較します。
本問の場合は…どちらも差がなさそうです。ただし、問題によっては、どちらかが明らかに楽ということもあります。必ず比較してどちらが楽か検証をしましょう。
本問は「ストレート」に、「5回ゴール」、「4回ゴール」、「3回ゴール」、をそれぞれ求めていきます。
ここで、それぞれの場合での「確率の求め方」の話になるわけですが、そもそもどこから手をつければ良いかわからないという人もいると思います。
そんな方は、以下の式の「ある条件を満たすケース」を書き出すことから始めましょう。
例えば、「5回ゴール」のケースであれば、条件を満たすケースには「○→○→○→○→○」のケースがあります(○はゴールを表す)。計算はとりあえず置いておいて、これをしっかりと書き出しましょう。
これで求めるものがはっきりしました。数的処理全般で言えることですが、状況把握と計算など、色々な要素を混ぜて考えるとわかりにくくなります。1つ1つの処理も分けて行うように心がけましょう。
このケースについて計算をします。ゴールに入る確率は2/3ですので、これを掛け算していけばよいですね。
これで答えを出して、終わり…と言いたいところですが、必ず「ある条件を満たすケース」以外のケースがないかを考えて、「×場合の数」をしましょう。
「5回ゴール」の場合は、たしかに「○→○→○→○→○」以外のケースがないので、これで終わりにしても答えは正しいです。しかし、他の場合があるケースで、この「×場合の数」を忘れることが多々あります。
確率の問題での間違いで、一番多いのは、この「×場合の数」の数え間違い、見落としではないでしょうか。
「×1」であっても、意識することが大切です。5回中5回ゴールなので、5C5としてもよいでしょう。
計算すると、「5回ゴール」の確率は32/243になります。
同じように今度は「4回ゴール」の確率も求めます。まずは、「ある条件を満たすケース」を書き出すところから始めましょう。
「4回ゴール」ですと、例えば、「○→○→○→○→×」があります。
求めるものがしっかりと把握できたら、このケースの確率を計算しましょう。ゴールではない失敗の確率は、余事象で1−2/3=1/3でよいですね。
ここで終わり…ではありません。今回はここで終わりにしてしまったら、答えに影響が出ます。
今、計算したのは「○→○→○→○→×」の確率ですが、「4回ゴール」は他にも「○→○→○→×→○」などがあります。
5回中4回ゴールの場合は、全部で5C4=5通りですので、「×5」が必要になります。5回中1回失敗なので5C1=5通りでも構いません。
「5回ゴール」は他のケースがありませんでしたが、「4回ゴール」は他のケースがありますので、「×場合の数」が必要です。この見落としが多いので、注意をしましょう。
計算すると、80/243になります。
「3回ゴール」のケースも同じですね。条件を満たすケースとして、例えば、「○→○→○→×→×」を書き出して、その確率を求めます。
あとは「×場合の数」で、5C3(もしくは5C2)で×10通りをすればよいでしょう。計算すると、80/243になります。
あとは、32/243と80/243と80/243を足して、192/243=64/81となり、正解は5になります。
【正解5】
他の問題も同じ解き方で解けることを、ぜひお手元にある問題集で確認してみてください。
確率の基本のさらに詳しい説明は、以下の書籍に掲載されています。