公務員試験2年目です。合格に向けて何をすればよいでしょうか。

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Q.今年の試験で不合格となり、来年の受験を目指しています。現時点で合格に向けてどのようなことをすればよいでしょうか。

 

〈今回のテーマ〉
・受験2年目の人がまず現時点で行うべきことは何か。
・受験2年目の人が陥りやすい問題は何か。

 

《段階別アプローチ》

 

 まず、現在の公務員試験の情勢(倍率など)において、一定の学力があり、1年間本気で勉強に集中して、国家一般職や地方上級レベルの試験を5つ程度受験(併願)したとしましょう。このとき、少なくともいずれかの試験で1次合格する確率は90%以上でしょう。

 

 予備校にしても、大学での講座にしても、途中でドロップアウトをしてしまう人が一定数います。そういう人を除いて、最後まで頑張って残ったメンバーで、ひととおりの試験を受験したのに、1次試験に1つも合格しないというケースは稀です。

 

 大学の講義では、2年生、3年生で、もし「試験に全部落ちたらどうしよう…」と心配している人には、「本気できちんと勉強すれば、受かる試験です」と言っていますし、実際に合格しています。合格率が10%を切るような難関資格試験とは状況は異なります。

 

 この状況を前提とした上で、段階別で話を進めていきたいと思います。

 

①受験したすべての一次試験(ここでは択一試験を指す)で不合格

 

 受験したすべての一次試験で不合格だった方は、「一定の学力があり、1年間本気で勉強に集中して、国家一般職や地方上級レベルの試験を5つ程度受験(併願)した」の条件を満たしてないケースが大半です。

 

 なお、不合格の理由として、数的処理が苦手だから受からなかったとか、経済を切ったから受からなかったという話は実は「本気で勉強」した人からは意外と聞かれません。最低限の点数を取り、他の科目でカバーするなどの工夫をするからでしょう(安易に切ってよいという意味ではないのであしからず)。

 

(1)受験する試験を1つ、ないしは2つのみに絞った。
 「もっと受験すればよかったです…」という声も聞かれます。2年目の受験の際には、数多くの試験を受験しましょう。併願については、以下をブログ記事を参照してください。

 

【併願はした方がよいですか?】

 

(2)勉強時間足りなかった。
 さすがに3~4か月という期間での合格は、なかなか厳しいです。また、働いている方は、仕事の兼ね合いで時間を作れないという人もいます。働いている方と話すと、試験直前に異動になり、急に忙しくなったなどの話も聞きます。次の試験に向けて、試験を迎える前までにどう早めに時間を確保するかが重要です。うまく時間の貯金を作りましょう。

 

(3)本気になれなかった。
 早い時期から予備校などに入っているのに、試験直前になってから慌てて勉強をやり始め、間に合わなくなったという人もいます。「自分、本当は公務員になりたくないかも?」と疑問を感じながら勉強をしている人もいます。2年目の受験を目指す際、次は本気で取り組むことができるのか、自分自身に問いかけてみましょう。

 

(4)一定の学力がない。
 「すべて不合格だったけど、あと2、3点あれば…」という人は、気にする必要はありませんが、1年やれる限り勉強を頑張ったのに、どの試験でも一次試験の順位的に下位40%程度に入っているという人は、学力面で足りない部分があるということです。私自身が相談を受けて感じるのは、特定の科目が苦手というよりも、「文章そのものを読む力が低い人」がこれに当てはまります。根本原因を見直す必要があります。

 

②一次試験は合格したが、二次試験(論文・記述、面接・集団討論など)で不合格
 少なくともひとつでも一次試験に合格をしているということは、択一試験については一定以上の得点力があると評価できます。もちろん、更なる点数の向上を目指したいところではありますが、しっかりと落とされたところをカバーしましょう

 

(1)論文・記述などが原因で不合格
 これについては、特別区志望者が顕著なのですが、択一でいくら点数をとっても、教養論文の評価が低く不合格になるというケースがあります。択一試験と異なり、他の科目で点数をカバーすることができない以上、苦手な方は2年目はここで落とされるようなことが無いよう、早い段階から準備をしましょう。

 

(2)面接・集団討論などが原因で不合格
 2年目の受験を目指す人で最も多いのはこのパターンです。中には一次試験はすべて合格したけれど、面接がすべてダメだったという人もいます。勉強も大切ですが、今すぐにでも面接の準備をしましょう。在学中の方はキャリアセンターなどを利用し、それ以外の方であれば、ハローワークや、自治体の主催する若者雇用支援のプログラムなどでキャリアカウンセラーのアドバイスなどを参考にするとよいでしょう。

 

【ブログ記事:面接関連】

 

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《現状を「分析」をして、苦手なことから「実行」しましょう。》

 講師という仕事をしていると、毎年、不合格だった方から、次の年の試験へ向けての相談を受けます。そして、この人は来年は大丈夫だろうと感じる人と、この人はこのままだと来年もまずいのでは感じる人がいます。そして、実際にうまくいかないケースを目にしてきています。

 

 来年こそはうまくいってほしいというのが、私の願いです。そのためにも、以下の2点について触れていきたいと思います。

 

(1)本試験の結果を冷静に分析する。

 

 2年目を目指す人にアドバイスをする際、私がお願いをするのは、本人のデータの提供です。今年受験した試験での順位、正答が公表された試験であれば何が何点取れたのか、論文で落とされたであろう人は、どのような論文を書いたのか(できれば復元したものが見たい)、面接で落とされたであろう人は、面接カードや面接でのやり取りや印象など、不合格になった原因を見つけることが最優先事項です

 

 しかし、本人がそのあたりを整理しきれていないこともあり、データを提供してもらえないこともあります。「全然駄目だったんですが…」や「まあ、平均ぐらいの出来だった」と、イメージの話になってしまうことがあります。

 

 このイメージというのが厄介でして、受験生本人が「まあまあ」と感じていても、こちらから見てみると「致命傷」ということがあります

 

 今までのイメージのまま、2年目の学習を進めてしまうと、不合格に繋がる部分が軌道修正されることなく、2年目の勉強が進むことになります。

 

 うまくいかなかった過去のことを見つめなおすのは、決して気分の良いものではないかもしれませんが、過去は所詮過去です。今から何か変わるものではありません。ドライに見つめて、問題点を把握し、次に生かしてほしいと思っています。

 

(2)分析ができたら「実行」をする。

 

 特に1次試験は合格して、2次試験で不合格になった人に多いケースなのですが、2年目も1年目と同じペースで勉強をして、直前期に面接対策を行うという人がいます。

 

 もちろん、勉強をしなければ、知識は抜けていきますし、勉強は勉強で大切です。それは間違いありません。しかし、1次試験に合格する学力があり、課題は面接であることがわかっているのに、なかなか面接対策に取り組まず後回しにしている人がいます。

 

 択一試験は、勉強をすると、点数という非常に目に見える形で成果が上がります。向上しているという実感もあり、取り組みやすいものです。

 

 面接対策は、いろいろと行ったところで、自分自身では成果がわかりにくく、なかなか向上しているという実感も持ちにくい。何となく時間を無駄にしている気がして、変な表現ですが、つい、点数が上がる勉強に逃げてしまう。そんなふうになってしまっている人がいます。

 

 また、どうしても苦手なこと、うまくできないことというのは、やっていて気持ちの良いものではありません。しかも、その向上が目に見えないとなると、「やっても意味がないのでは?」という気持ちになりやすいです。

 

 しかし、公務員試験の最終合格に「面接」は絶対に必要です。人と目を合わすのが苦手な人は、コンビニの店員さんやスーパーのレジの人の目を見るところから始めましょう。実際に大学では学生さんに推奨しているアドバイスです。向こうはそんなにこっちのことを気にしていませんから、堂々と見ても何とも思われません。

 

 他人に声をかけるのが苦手であれば、レジ袋を断ったり、ラーメン屋で「ごちそうさまでした!」と言ってみたり、少し慣れたら、洋服を買うときに、店員さんに相談してみたり、そんな小さな積み重ねを今から繰り返し、面接までに話す力を身につけていきましょう。日々の積み重ねは、目には見えないけれど、必ずあなた自身の向上につながります。

 

 受験する試験の面接の倍率が2.5倍だとしましょう。自分も含め5人の受験生(ご友人を想定するとよいでしょうか)がいて、その中の上位2人として選ばれなくてはなりません。面接が原因で不合格になった人は、試験までにそのレベルに到達することが目標だと認識しましょう。面接というのは、自分では点数化しづらいですが、面接官は普通に点数化できることを意識してください。

 

 過去に面接で不合格になって2年目に合格をした受験生はたくさんいます。一例を挙げてみたいと思います。

 

 ある区役所で働きたいと思い、特別区で一次合格し、人事委員会の面接まで進みましたが、不合格になった受験生がいました。理由を分析すると、「民間が合わなそうだから、公務員と思っただけで、どんな仕事をしたいか、どんな課題を解決したいかなど、まったく考えてこなかったのが面接で露呈した」という感じでした。面接そのものは苦手ではなさそうでした。

 

 彼は、勉強の合間に自分が志望する区の区議会の傍聴に行ったり、区長の講演を聞きに行ったり、また、区のイベントにお客としてもボランティアとしても参加するなどしながら、2年目の受験期間を過ごしました。…そのような活動が楽しくなりすぎ、勉強面が疎かになっていたのを咎めたこともあります。勉強は勉強で大切です。繰り返しになりますが、勉強も大切です。

 

 1次試験の点数は前年とさほど変わらずでしたが、楽しくなるくらい活動に時間をかければ、区の職員としてやりたいことなど、いくらでも話はできるでしょう。特別区の試験にも最終合格、希望区に採用されました。

 

 少し極端な例ではありますが、「民間が合わなそうだから」から「様々な活動に楽しく参加した人」では、間違いなく面接の評価は向上しています。面接が原因で不合格になった方は、勉強はしっかり行いつつも、面接での評価を上げる努力をしていきましょう。

 

 公務員試験の合格には、全体のバランスが重要です。勉強に偏りすぎても、面接に偏りすぎても、合格には結びつきません。2年目の合格を目指される方は、単純に足りていない部分を伸ばすこと、そして、全体のバランスを意識しながら、試験までの期間を過ごしていきましょう。

 

 来年こそは合格!! 応援してます!!

 

〈まとめ〉
・現状を丁寧に分析し、自分自身の課題を見極めましょう。
・合格のための方向性が定まったら、それに向けて「実行」をしましょう。
・特に「面接」で不合格になった人は、早めに日々面接対策に取り組みましょう。
・合格には勉強と面接のバランスが重要なことを常に意識しましょう。