気持ちの整理の仕方はありますか。

Q. 試験が近づいてきて、「落ちたらどうしよう」という漠然とした不安が頭をよぎり、やってはいるものの、何となく勉強に集中して取り組めていない感じがします。何か良い気持ちの整理の仕方はあるのでしょうか。

 

〈今回のポイント〉
・気持ちを整理するためのコツは何か。

 

《コントロールできないものに捉われない》

合格するためには、勉強をやるしかない。と、わかっていながらも、やはり、この時期は様々な不安に駆られる方もいるでしょう。元受験生としては、その気持ちもわかります。

講師になってからも、まだ試験まで時間があるのにも関わらず、たびたび「今年の試験がダメだったら、来年どうするかを考えているのですが…」という相談を受けることもあります。

このような気持ちのまま勉強をしても、「何となく集中できていないな」ということが頭をよぎり、それがまた焦りを生むという悪循環に陥ってしまいます。

実際にこの時期、元気のなくなっていく受験生の方も目にします。

自分自身「気持ちの整理」というのは、決して簡単なことではないことは自覚しています。

これまで自分なりに色々とメンタルコントロールの仕方を勉強してきましたが、いつもベストな精神状態をキープできているわけではありません。

ただ、悪い方向に行っているときに、それを察知して、軌道修正することで、下げ止めること以前よりできていると感じています。

今回は受験という点にフォーカスをして、気持ちの整理の仕方について、触れてみたいと思います。

まず、考えたり、悩んだりする際に、「コントロールできるもの」と「コントロールできないもの」を区別しましょう。

簡単に言ってしまえば、自分自身でコントロールできないものについて考えても、どうすることもできません。

以下で例を挙げてみましょう。

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(1)周囲の人々

一緒に勉強をしている友人がいたりすると、その人の勉強の進捗状況や、模試の成績などが気になることもあると思います。

最近では、友人ではなくても、匿名掲示板やSNSなどを通じて、周囲の情報が入ってくる人もいるかもしれません。

周りの人が自分より点数が良かったとしても、彼らの点数を自分がコントロールすることはできません。

どれだけそのことに心をすり減らしても、何かが変わるわけではありません。自分が消耗するだけです。

単純に「自分ももっと頑張ろう!」と気持ちを切り替えて、集中して勉強しましょう。相手の点数を下げることはできませんが、自分の点数を上げることはまだまだできます。

余談ですが、自分自身、20代の頃は、他の講師の評判を気にして、神経をすり減らしていたこともありました。「他の人の良い評判=自分はダメ?」みたいな気持ちになっていたこともあります。

あるときから、自分自身のことに集中するようになり、より充実した良い方向に進めるようになったと実感しています。自分自身を向上させる方が、気持ちが良いです。

(2)過去・未来

「もっと勉強していれば…」とか、「やっぱり、説明会には参加しておいた方がよかったかな…」など、過去のことで気になることもあるかもしれません。

過去をコントロールしようと思っても、タイムマシンはありません。

自分自身は「高校時代、もっと勉強しておけば…」と思うこともありますが、たぶん、当時の自分は何を言っても勉強はしなかっただろうなとも思います。

また、意外と思う人もいるかもしれませんが、「未来」も直接コントロールできるわけではありません。「今年、公務員試験に合格する!」とということを100%実現することは、今の時点ではできません。

何が伝えたいのか…「今」に集中しましょう。「過去」を受け止めて、「今」現在のベストを尽くすべきですし、「未来」を実現するためにも、可能性を高めるために「今」やれることをやりましょう。

「今」はコントロールできます。

(3)環境

周囲の環境をコントロールこともできません。

一番わかりやすい例でいえば、「時間」です。「試験までもうすぐで勉強時間が足りない」と思っている人もいるかもしれませんが、これは全受験生ともに平等です。

もちろん、現在、働いていて勉強時間を確保できない人からすると、「朝から晩まで勉強できる人が羨ましい」と思うかもしれません。

その環境を変えることができないのであれば(変えることができるのであれば、それを考えることもあるでしょう)、環境そのものに気持ちをすり減らすのではなく、その中でのベターな取り組み方を考えた方が生産的です。

1日24時間という与えられた時間は決まっています。それをどう使うかが大切です。

また、これからの時期、採用人数なども発表になるかと思います。採用人数が減って、競争倍率が高くなる試験も出てくるかと思いますが、これも私たちには変えることはできません。

「去年はあんなに採用数増やしたのに、何で?!」と思う人もいるかもしれませんが、就職氷河期を経験している自分からしてみれば、今の受験環境は恵まれすぎといっても良いでしょう。

自分自身で変えられない環境についてを考えるより、その環境の中でどうベストを尽くすかを考えてみてください。

いかがでしたでしょうか。

直前期は集中して勉強に取り組むと、一気に点数が伸びるようになる時期です。集中して勉強に取り組みためにも、意識的に良い精神状態をキープしましょう。

決して簡単ではないと思いますが、「コントロールできないものに捉われないようにする」と意識することで、少しでも気持ちが整理をしてもらえたらと思います。

今、自分のやれることをひとつひとつやることに集中していきましょう。きっと良い結果に結びつきます。

〈まとめ〉
・勉強に集中するために、意識的に良い精神状態を保つよう心がけましょう。
・良い精神状態を保つためには、自分でコントロールできないものに捉われないようにしましょう。
・「今」の「環境」の中で、「自分」自身がやれることに集中して取り組みましょう。