Q. 「本試験問題を一通り解いてみる。」を試してみたところ、思っていた以上に時間が足りず、途中までしか解くことができませんでした。何かコツはありますか?
〈今回のテーマ〉
・教養試験を解く順番について。
・時間短縮の方法について。
《自分にとってのベターを探す》
「本試験問題を一通り解いてみる」については、以下を参考にしてください。
まず、私が講義で口癖のように話すのは、「勉強ができることと、点数が取れることは似て非なるもの」ということです。
自分の目から見て、なかなか数的処理の筋が良いと思う受験生の方がいます。では、点数が飛び抜けて良いかというと、意外と点数が取れないことがあります。
理由を探ってみると、以下のような傾向が見えました。
・できるが故に問題をゼロベースで解こうとし、時間が足りていない。
・得点源にしたいという気持ちが強く、問題を捨てきれていない。
・数的処理に時間をかけすぎて、他を解き切れていない。
このように本来数的処理が武器になってもおかしくないはずな人なのに、点数は人並みになってしまうケースもあります。
公務員試験の教養試験(基礎能力試験)は、基本的に時間が短い傾向にあり、より工夫が必要になります。勉強をすること以外で、点数を上げるための準備もしていきましょう。
まず取り上げたいのは、解く順番についてです。人によって、リズムの良い順番というのがあります。
個人的なオススメは、一般知識→文章理解→数的処理の順です。その理由は、「1問あたりにかかる時間の短さ」と「はまりやすさ」にあります。
まず公務員試験の場合、教養試験の中で、日本史の配点は1点で、数的処理の配点は5点というような傾斜はありません。1問1点でカウントされます。
そうであるならば、なるべく多くの問題を解くために、時間のかからない問題から解いた方がよいでしょう。
「5分足りない」となったときに、最後の残っているのが数的処理なら1問、一般知識なら4問程度、時間のかからない問題から解くのが賢明です。
また、「はまりやすさ」もポイントです。日本史と数的処理では、時間のコントロールのしやすさが違います。
数的処理を解いているとき、悩んでいるうちに、気がついたら10分近く経っていたなんてことはありませんか? スムーズに解ければよいですが、そうでないときは時間配分が難しい、時間のコントロールがしづらいです。
先に時間のコントロールが難しいものを持ってくると、試験全体のタイムマネジメントが難しくなります。
以上から、一般知識→文章理解→数的処理の順を推奨します。
ただし、この辺りは個人の好みもあるでしょう。「頭がフレッシュなうちに数的処理をやっておきたい」という声や、「得意な文章理解を先にやりたい」など、今まで様々な声を聞いてきました。
何れにせよ、解く順番を変えることで解きやすさも変わり、点数も変わってきます。試行錯誤をして、自分にとってベターな順番を見つけましょう。
《取捨選択の基準を作ろう》
計算をしてみるとよくわかりますが、教養試験では時間が足りなくなるケースが多いです。
例えば、国家一般職(140分)の一般知識13問、文章理解11問、数的処理16問で考えてみます。
一般知識で1問2分、文章理解で1問5分とすると、26+55=81分になり、数的処理で残りは59分、1問あたり4分未満の計算になります。これでは数的処理の時間が足りません。
およそのイメージとしては、一般知識で15分、文章理解で50分で、数的処理に75分(1問あたり5分弱)あたりでしょうか。
個人個人で時間配分も異なると思います。ぜひ、ご自身の受験予定の試験で、自分なりの時間配分を計算してみてください。
こうなってくると、なかなか全問しっかりと時間を割いて解くのは厳しいことがわかるのではないでしょうか。ここで重要なのが取捨選択になってきます。
まず一般知識については、悩んでも解けない問題は即切りましょう。ローマ初代皇帝がカエサルかどうかについて、いくら考えたところで知らなければ解けません(8月Augustの由来となったアウグストゥスが正解)。
ついついじっと見比べてしまう時間を意識的に削って、他に回すことが大切です。
文章理解の特に現代文では、最後の2択で悩むことも多いかもしれません。これも悩み過ぎても明確な結論は出にくいところです。本文を読み返してもわからなければ、早めに見切ることも大切です。
数的処理は特に苦手な問題や、悩んでも解けそうにない問題は後回しにして、見たことがあり解けそうな問題、作業をすれば解けそうな問題から優先的に解いていくとよいでしょう。以下も参考にしてみてください。
特に数的処理は苦手としている人も多い科目です。そうすると、解きにくい問題にはまってしまい、解けるはずの問題を解けずに試験が終わってしまうこともあります。
数的処理では、日頃から初見の問題について、「本試験ならば、解くべき問題か切るべきか問題か」を意識した上で問題を解くようにするとよいでしょう。
「本試験で出たら、これは解きたい。」と思った問題なのに、実際にやってみたら全然解けなかったとなれば、取捨選択の基準が誤っていたことがわかります。
解くべき問題に時間をかけ、切るべき問題を早い段階に切ることができるようになることが理想です。その精度を上げることを心がけましょう。
意外と気にしていないポイントかと思います。ほんの少しの意識だけで、よい準備になるので心がけてみてください。
改めて「勉強ができるのと、点数が取れることは似て非なるもの」という言葉を伝えてたいです。勉強以外の「点数」に結びつく準備もしていきましょう。