教養試験で時間が足りなくなります。

Q. 模擬試験や本試験の過去問を解いていると、教養試験での時間が足りず、問題を解き切れません。試験までに何か工夫をできるものでしょうか。

 

〈今回のテーマ〉
・教養試験の時間設定はどのようなのものか。
・足りない試験時間に対して、どのように工夫をすべきか。

 

《試験時間が「足りない」ことを確認》

まず前提として、ほとんどの試験では教養試験(基礎能力試験)の時間設定は非常に厳しく、普通に問題を解いていると、時間が足りません。ですので、時間が足りないことそのものは気にしなくても良いでしょう。

例えば、メジャーどころの試験で最も試験時間が厳しいのは、特別区Ⅰ類でしょう。一般知識が20問(12問選択)、文章理解9問、数的処理19問で、合計120分です。

例えば、一般知識が20問×1.5分=30分、文章理解9問×3分=27分、数的処理19問×3分=57分、合計するとこれで114分となりますが…普通に考えると、この時間で解くことは困難です。

今回は特別区Ⅰ類を取り上げましたが、皆さん、それぞれが志望する試験で、全問解くことを前提でぜひあらためて計算してみてください。

国家一般や国家専門はたしかに試験時間が140分と長くなりますが、文章理解や数的処理の問題の難易度を考慮すると、決して余裕はないことが感じられると思います。

まずは「元々、時間は足りないもの」とわかれば、「焦って無理に全問解く必要はない」ということも意識できるのではないでしょうか。

無理に全問を解こうと焦ってしまい、多くの問題が中途半端になってしまい、結局点数につながっていないケースも見受けられます。

時間が足りないのは、明らかです。そうなると、「限られた時間の中で、より有効に時間を割り振り、いかに少しでも点数を多く取るか」がポイントになります。

 

 

《「時間の使い方」の準備を》

時間が足りない試験ですので、まず重要なのは「解けない問題」はすぐに切ることです。

知識系の科目については、例えば、「塩素は常温で黄緑色の気体で有毒」と知らないと、これについては解けません。悩んで解けるような問題ではありませんので、すぐ切るように意識しましょう。

知能系の科目についても考えてみましょう。文章理解の英文については、まずは単語力です。知識系の科目同様、知っていないと判断できないところで悩まないようにしましょう。

現代文については、「最後の2択で悩む」というケースがたびたび見受けられます。本文中の内容から論理的に導くのが理想ですが…試験中はどちらも正解に見えることもあるでしょう。

現代文は何度も読み返していると、思った以上に時間が経過してしまいます。日頃の勉強の際に、「悩んだことがどれだけ点数につながるか」を検証してみましょう。

具体的には、「ファーストインプレッションの選択率がどの程度高いか」です。ファーストインプレッションで丸をつけた選択肢を、読み返した後に他の選択肢に変更するかどうかをチェックしてみてください。

ファーストインプレッションで付けた選択肢と、繰り返し読んだ後に選ぶ選択肢がたびたび変更され、しかも、点数につながっているのであれば、悩んだことが点数につながっています。試験中にかけるべき価値のある時間です。

もし、ファーストインプレッションで付けた選択肢と、繰り返し読んだ後に選ぶ選択肢が同じであるならば、正解にせよ、不正解にせよ、結果は変わりません。かけるべき価値のない時間といえるのではないでしょうか。

時間をかけて点数が上がるならその時間はしっかりかけるべきです。しかし、時間をかけても点数が変わらないのであれば、時間を節約して、他に回すべきでしょう(例えば、数的処理など)。

いずれにせよ、そのあたりは自分自身で検証をしないとわからないところです。本試験を受験する前に、自分自身で「その確認の時間は果たして点数につながっているのか」を確認してみてください。

では、同じ知能系の数的処理はどうでしょうか。「全問解かない」ことを前提にすると、まずは数的処理を解く際に、全体に目を通し、以下のような分類をすることをオススメします。

A:得意分野・簡単そう

B:不明・どちらとも言えない

C:不得意分野・難しそう

例えば、数的処理に65分使うとして、全部で16問のうち、A:6問、B:6問、C:4問だとしましょう。

半分の8点が目標ならば、A:6問を時間をかけてでも完璧に解き切ることで、期待値としては、残り10問中2問は正解になるはずなので、合計8点になるはずです。つまり、BとCを一切解かないという戦略です。

さすがに極端な例ではありますが、「取れるところを確実に取る」ことがどれだけ重要かがわかると思います。

1問4分×16問=64分ですが、これでは中途半端にしか時間をかけられない問題ばかりで、時間を使った割には点数につながらないということも起こり得ます。

先ほどの例で、C:4問を一切手をつけないとするとどうでしょう。AとBの12問で、65分ですので、1問5分30秒弱確保することができます。

個人的には時間の制約が厳しい状況で、一目見て「苦手な分野だ…」や「難しそうだな…」と感じた問題を正解できる確率は低いと考えています。つまり、点数につながらない問題だから、時間をかける価値はない。切って他の問題に時間を回した方が、点数につながるという考えです。

どうしても、なるべく多くの問題を解きたくなるかもしれませんが、一目無理そうな問題まで試していると、時間が足りなくなり、結果として時間を回せば解ける問題まで解けなくなってしまいます

時間の節約について、数的処理に関しては、「一目見て苦手意識を感じる問題や、難しそうと感じる問題は手をつけない」という方法を一度試してみてください。

「解く問題を減らすことで、今までより点数が下がってしまった」という方は、この方法は採用しない方がよいでしょう。

「解く問題を減らすことで、1問にかける時間が増えて、結果として点数が上がった」という方は、試験でも実践してみていただければと思います。

なお、上記の方法を実践できるようにするには、自分自身で難易度を正確に推定できるようになることが重要です。日頃問題を解くときから、「この問題が本試験で出たら、切るか解くか」を考えてみましょう。

どのような問題が切るべき問題かを判断できるようになることも重要です。

時間制限が厳しい試験は、単純に「勉強ができる=点数が取れる」にはなりません。より点数につながる時間の使い方を日頃から練習していきましょう。

 

〈まとめ〉
・教養試験は基本的に時間が足りません。より点数につながる時間の使い方をしましょう。
・文章理解では「問題文を繰り返し読む」ことが点数につながっているか、今のうちに確認しておきましょう。
・数的処理で「一目、解けそうにない問題」は、時間の厳しい試験で解くのは困難です。手をつけずに点数の取れそうな問題に時間をあてましょう。