地元から離れずに就職したいです。

 

Q. 公務員として、地元で就職したいと思っていますが、県庁と市の受験日も同じで、周辺の市を受験するにしても、ほとんど併願先がありません。何か良い方法はあるでしょうか。

〈今回のテーマ〉
・自治体以外で、地元から離れず就職できるところはあるか。
・幅を広げるとどのような就職先があるか。

 

≪国家系の試験にも目を向けてみましょう≫

都道府県庁や市区町村などの、公務員試験用語でいうところの「地方上級」は近年非常に人気です。

ちなみに地方上級とは、地方公務員の上級職(大卒程度の区分)という意味で解釈してもらえればよいと思います。

大学で学生さんの個人面談をしていると、地元志向の方は、特に近年増加している印象もあり、中には「私は地元の自治体しか受験しません。」と言っている人も一定数います。

もちろん、第一志望のみを受験するのもよいのですが、個人的には選択の幅が広い方が良いと思うので、基本的には「国家系」の試験も受験するようにというアドバイスをしています。

なぜ地元志向の学生さんに「国家系」の試験を受験するように勧めるのか、横浜市志望者を例にして、具体例を挙げてみたいと思います。

例えば、横浜市は例年6月下旬に試験が実施されますが、同日に神奈川県庁や川崎市、相模原市の試験もあり、併願はできません。県庁と県庁所在地の自治体は、多くの場合、試験日が同じです。

この時点で「県庁」と「出身自治体」の併願ができなくなり、併願先に困ることになります。

横浜市であれば、次に候補に挙がる自治体は神奈川県内の周辺自治体、および、都内の横浜に近い区役所(大田区、品川区)などがまずは併願先の候補でしょう。

受験生の皆さんを見ていると、ここで併願先について考える際に、ここで止まってしまっている印象を受けます。国家公務員というと、全国転勤だと思っている人もいるようですが、決してそんなわけではありません。

国家一般職の出先機関を見てみましょう。以下はH30年度の採用機関一覧になります。

http://www.jinji.go.jp/saiyo/saiyo/ippan/saiyo_ippan02_link/G1-30gyoseisaiyoyotei.htm

横浜であれば、横浜地方検察庁や横浜税関(支署もあり)、直接は書かれていませんが、神奈川労働局などもあります。

また、例えば、関東経済産業局などは、「関東」と書かれていますが、その組織のほとんどはさいたま新都心の合同庁舎に入っています。つまり、基本的にはさいたま新都心での勤務になります。

このように国家公務員だからといって、すべてが全国転勤なわけではなく、基本的に都道府県内での勤務になるものも多いです。

転勤などについては、説明会で実際に働いている職員に確認をしてみるのが良いでしょう。

続けて裁判所についてです。裁判所の場合には、以下でも書かれている通り、基本的には都道府県内での異動になります。

裁判所ホームページ(採用Q&A)

http://www.courts.go.jp/saiyo/saiyo/qa/sonota_6/index.html

裁判所職員(一般職)の場合には、最終合格後に合格名簿上位者から採用場所が決まっていきます。横浜在住の方は、横浜地方裁判所管内で採用が決まれば、「地元」という観点からは合格点ではないでしょうか。

また、少し範囲は広がりますが、国税専門官は転勤の範囲が以下の通りになります。

https://www.nta.go.jp/about/recruitment/kokusen/qa/01.htm#a-10

地方自治体で勤務をしたいということであれば、このような併願は望むところではないかもしれませんが、プライオリティとして、「地元」での就職があるのであれば、一考の余地はあるでしょう。


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≪他にも様々な選択肢があります≫

さらにもう少し幅を広げてみましょう。「警察」というと、皆さんは現場の警察官を思い出すかと思いますが、「警察事務」という、事務職の仕事もあります

東京都であれば、「警視庁事務」であり、それぞれの県警でも「県警事務」があります。これについても、他の公務員試験と同様の試験が行われます。

また、公務員ではありませんが、「独立行政法人」の職員という仕事もあります。全国規模でのものとしては、「国立大学法人」、つまり、国立大学の職員です。

「国立大学法人」全体として受験をして、1次試験で合格した後に、各大学の採用面接などを受ける形になります。例えば、先ほどの横浜の例であれば、横浜国立大学があります。

他にも「学校事務」という区分で、公立の小中学校の職員を採用している場合もあります。

いかがでしたでしょうか。もちろん、第一志望に合格することが理想的であり、それを目指すことが重要です。ただ、それ以外の選択肢もあらかじめ考えておくことも重要です。

「地元」ということに重点を置いている方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

〈まとめ〉
・国家公務員だから全国転勤というわけではありません。
・地元志向の人は、国家系の試験まで幅を広げて、選択肢に入れてみましょう。
・警察事務や独立行政法人など、様々な選択肢があることを知っておきましょう。