判断推理の【可視化】について

H29国家一般職(高卒)

図のように、6段から成る本棚があり、本棚の各段に、マンガ本を20冊ずつ並べることとした。

本棚に並べるマンガ本は、A~Eの五つのシリーズであり、Aは1~35 巻、 Bは1~15巻、Cは1~20巻、Dは1~30巻、Eは1~20巻から成っていた。

マンガ本は、1段目の左端から並べ始め、一つの段に並べたマンガ本が 20 冊となったときは、その一つ下の段の左端から並べた。

また、同じシリーズのマンガ本は、巻数の小さいものから順に連続して並べ、一つのシリーズのマンガ本を全て並べ終わったときには、その続きから、別のシリーズのマンガ本を同様に並べた。

マンガ本を全て並べ終わったときの状況について、次のことが分かっているとき、確実にいえるのはどれか。

○ 1段目には二つのシリーズのマンガ本が並んでいた。

○ 2段目の右端のマンガ本の巻数は5であった。

○ 3、5、6段目にはそれぞれ一つのシリーズのマンガ本が並んでいた。

○ 5段目の左端のマンガ本の巻数は 16 であった。

1. Aは4段目と5段目に並んでいた。

2. Bは4段目に並んでいた。

3. Cは3段目に並んでいた。

4. Dは1段目と2段目に並んでいた。

5. Eは6段目に並んでいた。

あまり見たことが無い設定の問題で、難易度が低めの問題を取り上げてみました。

判断推理の問題は、国家系を中心に思いの外「見たことが無い、定型的では無い問題」が出題されます。○×を埋めるような問題ばかりではありません。

そのような問題では、判断推理の全体像が掴めているどうかが重要です。今回は【可視化】について触れてみたいと思います。

【可視化】は私が講義を行うにあたり、数的処理全般で使用するキーワードです。

判断推理では、与えられた条件を可能な限り「可視化」、つまり目に見える形で表すことが重要です。

本問であれば、ルールが把握できたら、例えば、以下のように各条件を目に見える形で表します。

もちろん、これでも十分解いていくことはできますが、まだ「可視化」できていないことがありませんか?

例えば、1段目の最初は1巻から始まっています。「これくらいのこと?」と思うかもしれませんが、可能な限り見える形にしておくことが大切です。

あとは2段目の最後は5巻というだけでなく、1〜5巻と記しておけば、その前は15冊分のスペースがあることもわかります。

同様に5段目の最初が16巻であれば、4段目の最後は1〜15巻、その前には5冊分のスペースがあることもわかりました。

これらを「可視化」すれば、以下のようになります。

いかがでしょうか。最初よりもだいぶ見えるものが増えて、考えやすくなったと思いませんか?

判断推理全般で言えることとして、細かい点も含め、可能な限り条件を目に見える形、つまり「可視化」することが重要です。

あとはまだ使っていない条件、各段のシリーズの数、そして、A〜Eの冊数に注目しましょう。

ここで判断推理全体の着眼点ですが、数値などはなるべく極端なものに注目するのがポイントです。

今回であれば、最も多いAの35冊、これはなかなか入り切りません。場合によっては、3つの棚を使う可能性もあります。

そして、最も少ないBの15冊、これはうまく入れれば、1つの棚に収納できてしまいます。

これらの数値と、まだ使っていない条件に注目します。

○ 1段目には二つのシリーズのマンガ本が並んでいた。

この条件は、2つのシリーズというだけでなく、1段目の最初は1巻から始まっているのがポイントですね。可視化しているからこそ、考えやすくなっています。

B以外は20冊以上ですので、最初にこれらを置くと、1つのシリーズしか置けません。よって、最も少ないBが最初であることが決まります。極端な数値に注目するのがポイントです。

また、1段目は最初がBの1〜15巻、最後が1〜5巻であるので、2段目の最初の15巻分と合わせて、ここには20冊のシリーズであるCかEが入ります。

○ 3、5、6段目にはそれぞれ一つのシリーズのマンガ本が並んでいた。

5段目は16巻からにも関わらず、1つのシリーズということは、極端に多いものに注目したいところです。5段目はあと20冊分あるので、Dの30冊では足りず、Aの35冊のみ条件を満たすことがわかります。

そうすると、6段目は20冊ちょうどのCかE(1、2段目と合わせて未確定)、2段目の最後5冊分、3段目の20冊分、4段目の最初の5冊分を合わせて、30冊のDが入ることがわかります。

なお、最初の段階で5段目と6段目はいずれも1種類であり、5段目と6段目が同じシリーズで40冊は不可能であることから、6段目がCかEと考えてもよいでしょう。

各選択肢を検討すると、正解は1になります。

【正解 1】

判断推理は各ジャンルの関連性が非常に高く、すべて同じジャンルと言っても、過言ではありません。

個別の問題の解き方だけではなく、全体像を掴むことが重要です。

以下は過去の記事になります。

数的処理の点数が伸びません(その2:判断推理編)。

電子書籍のテキスト・問題集を執筆中です。判断推理編も早く作りたいと思いつつ、まだ数的推理もやっと2巻…。

今回のようにブログを書いていると、よりペースダウンしますが、全員に見てもらえるものもしっかりと書いていきたいので、両方とも並行していこうと思います。待ってくださっている方、すみません。

電子書籍でテキスト問題集を出版しました