【書籍紹介】誤解だらけの人工知能

https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334043384

5年ほど前に『アルゴリズムが世界を支配する』を読み、アーティストのデモテープは、プログラムによって評価され、がんなどの画像診断は、医師の目よりも、プログラムの方が誤謬が少ない時代に入ったことを感じました。

プログラムが自動生成によって作曲した音楽は、人間が作ったと思われている間は絶賛され、「機械が作った」と周知されると、「深みがない」と揶揄されたというエピソードが印象的でした。

人間の領域と思われていた分野も、徐々に曖昧になり始めている新しい時代を感じ、当時、大学の授業で紹介したことを思い出します。

それから約5年が経過し、「人工知能」や「ディープラーニング」「機械学習」という言葉を目にする機会も増えました。

また、皆さんの身近なところでも、その普及を感じているのではないでしょうか。

例えば、Amazonを利用していると、かなりの高い精度で、オススメの商品が提示されます。

インターネットで、ちょっとしたキーワードを検索すると、それに合わせた広告が出たりするのも一例です。

最近は名刺を読み取ってデータ化してくれるサービスなどがありますが、これもなかなか優秀です。

名刺には「社名」「部署」「役職」「名前」「URL」「メール」「住所」など、様々な項目があります。

私たち人間はパッと見で区別することができますが、ほんの数年前まではプログラムで自動的に分類することはできませんでした。

名刺はフォーマットが決まっているわけではありません。縦書きもあれば、横書きもあります。「山田**」とあったときに、人名もあれば、企業名、町名、ビル名など、分類しなければならないわけですが、それを現在は行えるようになりました。

また、GoogleやAppleでは、音声入力の技術も向上しています。日本語では同じ「さいこう」という発音でも、「最高」「再考」「採光」など、様々な言葉がありますが、これをニュアンスを読み取ることで、適切な言葉が出力されるレベルにまでなっています。

(ちなみにブログの下書きは、音声入力を利用することもあります。…外で喋れないのが難点です。怪しい人になるので。)

このように様々な形で普及しはじめたことから、「人工知能」があたかも人間と同じようなこと、むしろ人間を超える存在になりつつあると誤解されている側面があります。

そのような誤解を解き、「人口知能」とは何かを説明しているの本書です。

人工知能とは何かを知るのにちょうど良い一冊として、本書を紹介いたします。

今後どんな時代になるか、巻末には興味深い示唆もされています。