「積み重ね」の大切さ


Q. 試験が近づいてきて、やるべき勉強が増えてきています。これまで数的処理は毎日勉強してきた結果、ある程度解けるようになりました。この勉強は、今後も継続した方がよいでしょうか。それとも、模試や本試験をまとめて解くことを定期的に行うことでカバーできるでしょうか。

数的処理という科目が他と大きく違う点は、「処理」というアクティブな作業が入る点です。

他の多くの科目は、基本的には知識に対する「記憶」や「理解」が問われています。きちんと理解をして、覚えていれば、得点することができます。

しかし、一般知能、特に数的処理の場合には、公式や定理、また解法パターン、解答方針を知っていても、点数が取れません。それらをベースとした「処理」ができるかどうかが求められています。

数的処理が苦手な人が多い理由は、今までの学校でのテストや受験で、このような「処理」を求められる場面が少ないことが一因でしょう。

この「処理」は、勉強よりも、頭と体の違いはあれど、むしろスポーツや演奏などに近いかもしれません。

どのスポーツにおいても、フォームや重心移動は、効果的に体を動かすために大切です。それらを知識として学び、「こういう動きがいいんだな」と理解します。

ところが、実際に理想的な動きができるかというと、そんなに簡単ではありません。最近では、スマートフォンなどを利用して、簡単に動画で自分の動きを確認できるようになりました。

しかし、それでもなかなか思った動きをすることができません。特に試合では、それをコントロールすることはより難しくなります。「自分に言い聞かせる」ことをしても簡単ではありません。

後から振り返ると、「わかっているけど、これができなかった…」というスポーツ選手のコメントを聞くことがよくあります。

皆さんも数的処理で同じようなことを体験したことがあるのではないでしょうか。

「知識」も覚えていたし、「解答方針」も間違えていなかった。でも、文章の読み取りを間違えたり、「場合分け」をしないがために解けなかったり、「試して書き出す」ことができなかったから解けなかった。後から冷静になって振り返ってみれば、「あの解き方でよいのに…」ということも度々あります。

限られた時間の中で、自分自身でどの解き方がベストなのかを、数ある引き出しの中から取り出し、そして確実に「処理」するのはm決して容易ではありません。

新しい問題を見て、数ある引き出しの中から、どれを取り出すかの判断、そして、それらを「処理」することは、「新しい問題を解き、意識的に復習をする」ことで鍛えられます。

問題を解けなかったときに、解説を読むのはもちろん必要ですが、「自分がどこで躓いたのか」「なぜ誤った方針を立てたのか」を確認することは大切です。もしかすると、単純に「知識・公式を忘れていた」のが原因かもしれませんし、「処理」にミスがあったのかもしれません。

それらを繰り返していくと、「新しい問題を見て、数ある引き出しの中から、どれを取り出すかの判断」の精度が高くなり、苦手な「処理」もできるようになります。

スポーツや演奏でスムーズに体が動くなるのと同じように、自然と頭が動くようになり、「処理」のミスも減ってきます。

冒頭の話に戻ると、「自然と頭が動き、処理もミスが減るようにする、そして、それを維持する」には、2、3問でよいので、毎日の積み重ねをオススメしたいです。

受験生の話を聞いていると、多くの人は数的処理を解く頻度が低くなると、引き出しの選び方も、「処理」についても「感覚が鈍る」ようです。

復習を大切にしつつ、毎日の積み重ねで感覚を磨いていきましょう。

最近、毎日朝起きて10分くらいストレッチをしています。体の可動域が上がっているなと実感しています。

将棋は毎日の詰将棋をさぼっていたら、あっという間に頭が錆び付きました。

毎日の積み重ねの大切さを実感する日々です。