説明会やイベントにはどの程度参加した方がよいですか?

 

Q.官公庁や自治体が行う説明会やイベントはどの程度参加したほうが良いのでしょうか。また、実際のところ、試験の合否に影響は出るのでしょうか。

〈今回のテーマ〉
・説明会やイベントの参加は採用の合否にどう影響するのか。
・説明会やイベントには、何を意識して参加すべきか。

《試験の合否は、ポテンシャルと「内定辞退をしないだろう」で決まる》

以前、ある省庁を志望する方が「これまで何度も説明会に参加をして、人事にも顔を覚えてもらっている」と言っていましたが、その方は官庁訪問の1回目で落とされていました。

極端な例かもしれませんが、こちらがどれだけ志望をしていて、説明会に繰り返し参加しようとも、それ自体は合否には関係ありません

まず最も重要なのは「ポテンシャル」です。ここで私の言うポテンシャルという言葉は、俗にいう頭のよさだけではなく、人柄、将来性、職場のカラーに合うかどうかなど、様々なニュアンスを含みます。

「この人、いいな」と採用担当者に思ってもらえれば、内定に繋がります。

実際に国家一般職の官庁訪問などでは、それまで一度も説明会などに参加をしたことがなかったけど、話を聞いてみたら面白そうなので回ってみたら、あっさりと内定をもらえたというケースをたびたび耳にします。

しかし、ポテンシャルの高さは評価をされても、落とされてしまうケースもたびたび目にします。それは採用担当者に「この人は内定を出しても、他に行くだろうな」と判断されたケースです。

自分の教えている大学の学生で国家総合職に最終合格をしている人がいました。ある自治体で面接を受けたケースですが、併願先を聞かれ、素直に「国家総合職に最終合格しています」と答えたところ、それまで非常に良い雰囲気だった面接の空気がガラリと変わったと言っていました。

結果は不合格。もちろん、100%それだけ原因とは言い切れませんが、このようなケースはたびたび耳にします。

受験生の立場からしてみれば、不条理に思えるかもしれません。しかし、採用担当者の立場から考えると、理解できる部分もあります(面接というのは、採用担当者の立場で考えることが重要です)。

これは公務員も民間企業も同じですが、退職者数や新規事業に必要な人数なども考慮しながら、採用計画を立てます。人事部としては、一定の水準の人材を目標とする人数確保することが求められるわけです。

内定者歩留まり率を予測しながら、合格者数を出しますが、これは「この人は入ってくれそうだ」という判断をした上での歩留まりを前提にしています。

あえて「他に行くだろうな」という人に内定は出しません

数年前、神奈川県庁での内定辞退率が例年30%を超えているということがニュースになりました。また、10年ほど前になるでしょうか。裁判所職員の採用試験で合格者の内定辞退が相次ぎ、最終的に採用予定数に達しないということもあったように記憶しています。

採用担当者は受験生が併願をしていることを知っています(…公務員になっている人は、元受験生です)。

採用担当者の立場からすると、「ポテンシャル」も重要ですが、皆さんが思っている以上に、「内定辞退をしなさそう」という要因は重要な判断基準なのです。

 


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《イベントや説明会は、「面接」を頭の中に入れて参加を》

イベントや説明会に参加して、現職の方の仕事の話を聞くことで、より「入りたい」という気持ちが強まる(逆に思っていた感じと違うから、志望先を変えようという方針転換にもつながるかもしれません)、そして、それが勉強に対するモチベーションアップにつながる。そんな効用もあります。これがメインと言ってもよいでしょう。

しかし、みなさんにはもう一歩先の「面接」を念頭に参加してもらいたいと思っています。

もちろん、頭に入れておいてほしいのは、採用担当者に「この人は本気でうちを志望してくれている」という判断をしてもらえるようになることです。

今回は裁判所職員を志望する前提でお話しをしてみたいと思います。例えば、法学部の学生の方で、漠然と「公務員がいいかな」と思い、公務員試験の勉強をし始めたとします。

最初は自治体の職員を考えていたけれど、公務員試験に詳しくなるうちに「裁判所職員」という仕事があることを知り、自分自身、法律も好きだし、ここを第一志望にしようと決め、無事に一次試験に合格し、面接練習を迎えます。

面接練習で「なぜ、裁判所職員になりたいのか?」と聞かれ、「大学時代に法律を勉強して、法律に携わる仕事をしていきたいと思いました」と答えるとしましょう。

…この答えが不自然であることに気づきますか?

一般に法律に携わる仕事といえば、法曹(裁判官、検事、弁護士)や司法書士の資格職、また、法学者などの研究者、法律事務所への就職を考える方が自然です。

何かしらのきっかけが無ければ、法律に関係する仕事で、裁判所の職員になろうとは思いにくいはずです。

このやりとりが面接官にどんな印象を与えるかと言えば、「この人は他の公務員試験をメインで受けていて、うちは併願先扱いだな」という感じです。

…実はこの流れ、実際に裁判所職員が本命ではなく併願先の方の面接練習でよくあるシチュエーションです。

裁判所職員の試験は、面接官によって聞いてくる内容も様々で、志望動機が聞かれなかったという人もいる一方で、以下のようなことも聞かれています。

・裁判所職員に対して、どのようなイメージを持っているか。

・なぜ法曹ではなく、裁判所職員を目指しているのか。

・裁判所職員の仕事のどんな点に魅力を感じているのか。

・具体的にどの部門での配属を希望しているか。

・裁判傍聴はどの程度行ったことがあるか。

・書記官の仕事の内容を知っているか。

裁判所職員という外からはイメージしづらい職業ですので、なかなか答えにくいのではないでしょうか。

逆にこれらの質問に対して、面接官が納得感を得られる回答ができる人であるならば、「この人は内定を断らない。本気でうちを志望してくれている。」という判断につながるでしょう(もちろん、ポテンシャルを加味した上での採用です)。

外からはイメージしづらいのであれば、中の人から聞くのが最も効果的です。そこでイベントや説明会への参加が重要になります。

もちろん、説明会やイベントなどでは、純粋にその職種に対する興味・関心・理解を深めていくことを大切にしてください。

面接のことばかり意識しすぎると、素直な気持ちでイメージを膨らませることができなくなりますし、やはり自分自身に刺激を与えることは大切です。その刺激から自然と志望動機が出てくるのが理想的です。

そこに付随する形で、面接官の目から見て、自分自身が「この人は内定を断らない。本気でうちを志望してくれている。」と感じてもらえるような準備を早めにしておくことが理想的だと思います。

 

 

 

〈まとめ〉
・面接での合否には、ポテンシャルだけではなく、「この人は内定を断らない。本気でうちを志望してくれている。」と判断されることが重要。
・「この人は内定を断らない。本気でうちを志望してくれている。」と判断をしてもらえるよう、その職種に対する興味・関心・理解を事前に深めていくことが重要。