科目が多くて、どこから手を付ければよいかわかりません。

Q.現在,独学で勉強をしていますが、公務員試験は科目数も多く、どの科目から手をつけていくのか悩んでいます。

 

〈今回のテーマ〉
・勉強するべき科目の優先順位は。
・スケジュール面での目安はあるか。

 

《優先順位は「出題数」と「理屈系」で》

 

 独学で勉強をされている方は、自分自身で学習プランを立てていかなければならず、その点で心配をされている方も多いかもしれません。受験勉強は、勉強ができるようになるのではなく、点数が取れるようになることが大切ですので、プランニングは非常に重要です。

 

 本来はひとりひとりの受験生の第1志望の試験、併願先、民間企業の就職活動をどの程度考えているかなど、様々な点を考慮しながらプランニングしていきますが、ここでは、一般的な公務員試験受験生のイメージで述べていきたいと思います。

 

 数多くの受験科目のうち、私が勉強の優先順位をつけるとすると、その基準は「出題数」と「理屈系」であるかどうかの2点になります。

 

 まずは「出題数」から考えていきましょう。これについては、非常に単純な話です。以下は以前にも掲載したC日程市役所試験(9月実施の市役所試験のこと)の出題数の一例です。

 

 

 このように科目ごとの出題数にはバラつきがあることがわかります。当然のことながら、試験で多くの点数を取るためには、出題数の多い科目から手を付けていく形になります。お手持ちの資料で、自分の志望先の科目ごとの出題数を確認してみてください。

 

 なお、教養試験(基礎能力試験)は、どの試験においても、一般知能(数的処理・文章理解)の出題数が多めです。優先的に取り組んでいきたいところです。

 

 また、上の表で青く網掛けをした部分ですが、文章理解や数的処理の中でも、ジャンルごとで出題数が変わってきますので、早い段階で併願先も含め、出題数の確認はしておきましょう。

 

 上記のように資料解釈はC日程市役所では1題の出題ですが、都庁や特別区(東京23区)では、4題の出題になります。

 

 C日程市役所が第1志望で、特別区が第2志望であれば、資料解釈は重要科目、C日程市役所のみ受験予定であれば、資料解釈は手を抜くというプランが考えられます。

 

 なお、専門試験は試験によって、出題数が大きく変わってきますので、それぞれで確認をしてみてください。

 

 国家一般職や特別区は、憲法、民法Ⅰ、民法Ⅱ、ミクロ経済学、マクロ経済学、政治学、行政学など、すべて5題の出題です。

 

 一方、県庁や政令市などの試験では、法律系や経済系の出題数が多く、行政系の出題数が少なめです。

 

 

 次にもう1点の「理屈系」についてです。理屈系というのは、私自身の勝手なネーミングです。公務員試験の受験科目全体について、理屈の理解に重点が置かれる科目を「理屈系」、知識の記憶に重点が置かれる科目を「暗記系」と分類すると、プランニングがしやすくなります。

 

 結論から言ってしまえば、取り組む優先順位は、「理屈系>暗記系」になります。たとえば、暗記系科目として、生物の勉強を早目に取り組んだとしましょう。

 

 副腎皮質ホルモンの硬質コルチコイドが腎臓でナトリウムイオンの再吸収を促進させることを試験半年前に覚えても、試験当日に覚えている保証はありません。

 

 「暗記系」科目は覚えてしまえば点数に直結してきますので、むしろ直前期にしっかりと詰め込んでいきたい科目です。

 

 そうなると、早い段階で学習に取り組みたいのは、理解に時間のかかる「理屈系」の科目です。数的処理のパズルのような問題は、できるようになるのに時間はかかりますが、一度できるようになれば、「忘れて解けない」というようなことは起こりにくいです。

 

 「理屈系」の科目は、直前まで残しておくと、理解に時間がかかるので、試験までに学習が間に合わなくなりますので、早い段階から取り組みましょう。

 

 なお、私自身の理屈系、暗記系の分類は以下の通りです(このあたりについては、個人の解釈にもよるところだと思います。皆さんで内容は判断してください)。

 

【教養試験】
・理屈系…数的処理・文章理解・自然科学(数学・物理・化学)
・暗記系…自然科学(化学・生物・地学)・人文科学・社会科学

 

【専門試験】
・理屈系…法律系・経済系(財政学は暗記も)
・暗記系…行政系

 

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《一般的には「法律」・「経済」・「一般知能」で》

 

 それでは、具体的にどのようなスケジュールで勉強を進めればよいのでしょうか。

 

 ここでは、国家一般職、国家専門職、地方上級(都、区、県庁、市役所など)を複数併願される一般的な受験生をモデルとしてお話しします。

 

 最終的にある程度一通りの科目を学習して試験に臨む方は、「出題数が多い理屈系の科目」を早い段階から勉強するのが一般的です。

 

 具体的には教養試験では、数的処理と文章理解。専門試験では、法律系(憲法・民法・行政法)、経済系(ミクロ経済学・マクロ経済学)です。

 

 予備校の講義スケジュールも教養試験は数的処理、専門試験は憲法とミクロ経済学からスタートするのが一般的なのは、上のような理由からです。

 

 来年5月に実施される試験を目指して、9か月~1年前程度から勉強を始めている方であれば、年内いっぱいは上記の科目にある程度多くの時間を割くことになるでしょう。

 

 そして、年明け以降、「暗記系」の詰め込み、教養論文対策、専門記述対策に軸足を移していくというのが最大公約数的なプランニングになります。

 

 もちろん、それぞれの方が目指す試験によって、内容は変わってきます。裁判所職員であれば、刑法を使うか否か(使うのであれば、重要科目)。労働基準監督官を目指す方は、労働法が最重要科目になるでしょう。

 

 上記の全体像を参考の上、ご自身の受ける試験に合わせてアレンジしてみてください。試験までの大まかなスケジュールを立てられるようになると、今後の勉強がスムーズになります

 

 

〈まとめ〉
・自分の受ける試験の「出題数」を確認して、重要科目を把握しましょう。
・学習の優先順位は「理屈系>暗記系」で、理屈系は早めに取り組みましょう。
・自分の受ける試験に合わせて、試験までの大まかな学習スケジュールを組み立てましょう。