特別区Ⅰ類の専門試験について(事務)

 

(特別区人事委員会HPより)

今回は特別区の専門試験について、勉強法を考えてみたいと思います。

特別区の専門試験は11科目各5問の合計55問から40問を選択する形式です。ポイントは国家一般職とは異なり、「科目選択ではない」点です。

国家一般職試験では、憲法を選択する場合、出題される全5問を解答しなければなりませんが、特別区の場合は、例えば、憲法は4問、ミクロ経済学は1問だけというように、科目に縛られず選択することが可能です。

地方上級(県庁・政令市)などとの併願のしやすさから、法律系科目や経済系科目が重要視されがちですが、特別区が第一志望の人からしてみると、政治学、行政学、社会学、経営学などの方がコストパフォーマンスで上回るかもしれません。ミクロ経済学も5問、社会学も5問、経営学も5問で、どの科目も出題数は同じです。

公務員試験用参考書の厚さを見ると、ミクロ経済学よりも、社会学や経営学の方が薄い、つまり、出題範囲(勉強量)は狭いことがわかると思います。

併願などを考慮すれば、法律系科目や経済系科目をメインに据えた勉強で間違いはありませんが、特別区が第一志望という方は、苦手な法律系科目や経済系科目は深入りしすぎず、それ以外の科目で点数を稼ぐという考え方もあることを覚えておきましょう。

また、特別区の専門試験の出題傾向としては、問題の難易度が低めです。それぞれの科目で一通り勉強を終えたところで、過去問を数年分解いて、自分のレベルをチェックしてみると良いでしょう。

できれば7割(28点)以上をコンスタントに得点できるようにすることが理想です。7割と言われるときつく感じる人もいるかもしれませんが、実際には55問中の28問ですので、全問解答と考えれば28問はおよそ5割です。例年30点を超える受験生も多くいます。

特別区は教養試験の制限時間が非常に厳しく、点数が取りにくい構成になっています。教養試験が5割(20点)で足りるように、専門試験では7割以上の得点を目指したいところです。

なお、特別区の専門試験も年度によっては難易度が上がることもあります。特別区で出題された基本的な問題だけを勉強して、本試験で痛い目を見た受験生もいました。国家一般職などの問題も解いて、より習熟度を上げることをお勧めします。

そして、特別区で触れなくてはならないのは、やはり「教養論文」試験でしょう。今年も択一試験の合計点が40点台で合格する人がいる一方、50点台後半で不合格という人がいました。

専門試験でコンスタントに点数を取る自信がついた人は、教養論文に力を入れましょう。特に「文章力」の向上を心がけることが重要です。