東京都(I類B一般方式)と特別区の違い

Q.東京都(I類B一般方式)と特別区のどちらを受験しようか悩んでいます。それぞれの試験の違いなどがあれば教えてください。

〈今回のテーマ〉
・東京都と特別区の受かりやすさは。
・試験を受ける上でのそれぞれの特徴は。

 

《働きたい場所を選びましょう》

「都庁で働きたいけど、受かりにくそうなので、特別区を考えています。」そんな声を度々耳にします。

まず最初に確認をしておきたいのは、働きたいところを選ぶことが最も大切だということです。

これから何十年も働く場所です。受かりやすいかどうかというのも大事なことではありますが、まずは働きたいかどうかを基準にして考えてみましょう。

そして、後述しますが、東京都と特別区では、そこまで受かりやすさが大きく変わるわけではありません。特別区は受かりやすいわけではありません。

また、第一志望が他にある方で、東京都と特別区のどちらが良いかという質問も受けます。

「仕事」という視点と、「試験」という視点で、述べていききたいと思います。

「仕事」という視点では、単純にやりたい仕事で考えることもできますが、「仕事相手」に注目をしてみるのも良いでしょう。

東京都など、都道府県庁では、BtoBの仕事の割合が高くなります。つまり、企業や他の行政機関との仕事が多くなります。

特別区など、市区町村では、BtoCの仕事の割合が高くなります。もちろん、企業や他の行政機関との仕事も多いですが、住民と接する機会も増えてきます。

横浜市などの規模の大きな政令市の場合は、本庁ではBtoB、区役所ではBtoCという感じでしょう。

皆さん自身も、自分の住んでいる市区町村の窓口に行く機会はあると思いますが(学生さんだとあまりないかもしれませんが)、なかなか都道府県庁に赴くことはないことからも、イメージつくのではないでしょうか。

どちらが良い、悪いという問題ではなく、自分にとって向いているかどうかがポイントです。もちろん、あくまで1つの基準ではありますが、どちらが自分にとって向いているか考えてみてください。

 

《試験の特徴をチェックしましょう》

続けてそれぞれの試験の特徴を確認してみましょう。よく「特別区は受かりやすい」と言う声を耳にしますが、決してそんな事はありません。

人によっては、都庁の方が合格しやすい人もいます。

 

以下はH29東京都I類Bのデータです。

・1次試験(筆記)倍率:2.42倍

・2次試験(面接)倍率:2.59倍

・全体倍率:6.3倍

 

近年の傾向として、2次試験の倍率が高くなりがちです。面接に自信のある方は都庁の方が受かりやすいかもしれません。

東京都I類B(一般方式)の試験の特徴は、専門択一試験が課されないため、教養択一試験で一定のライン(65%前後)を取らないと、1次試験を通らないことにあります。

「専門記述はできたのに…」と言っている受験生の方も多いです。教養択一の勉強も疎かにしないように気をつけてください。数的処理については、過去問からの焼き直しが多く対策しやすいとも言えます。

また、専門科目は、専門記述で用いる3科目に絞ることができます。そういった意味でも、勉強時間は比較的少なくて済む可能性があります。

教養科目が得意で、面接に自信のある方にとっては、特別区よりも東京都の方が合格しやすいと思います。

 

以下はH29特別区1類のデータです。

・1次試験(筆記)倍率:3.01倍

・2次試験(面接)倍率:1.94倍

・全体倍率:5.8倍

 

2次試験の倍率については、1次試験合格後の辞退者がそれなりの人数いるため、実際にはもう少し低いです。ただし、合格後、区・組合の採用面接があります。

特別区は試験科目の幅が広いことが特徴です。選択式ではあるものの、専門試験の科目数は11科目出題されます。

また、配点が公開されていないため、確かなことは言えませんが、教養論文でのウェイトが非常に高いことも特徴です。特別区を受験される方は、教養論文にも力を入れましょう。

教養試験については、一般知能の比重が7割を占め、数的処理と文章理解が重要になります。

これらが苦手な人は、教養試験の点数を伸ばすか、教養試験の点数で足りない分を専門試験で稼ぐなど、全体として点数を伸ばすために方針を考えましょう。

特別区は難易度はそこまで高くないものの、幅広い学習が求められる試験といえるでしょう。

以上のように、それぞれの試験には特徴があります。第一志望として考えている方は、これらを意識しつつ勉強すると良いでしょう。

また、倍率が大きく変わらないことも確認していただけたと思います。併願として考えている方は、自身の第一志望と合わせて「やりたい仕事」の面と、「受験しやすい試験」という面を考えてみてください。

〈まとめ〉
・これから数十年働く場所として、受験先を考えましょう。
・特別区は決して合格しやすい試験ではありません。
・都(I類B一般方式)、区のそれぞれの試験の特徴を確認し、今後の勉強の方針を立てましょう。

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