入社後、1年経たずに会社を辞めましたが、面接は大丈夫でしょうか?

Q. 新卒で民間企業に入社した後、1年経たずして退職し、今年、公務員試験を受験しました。1年経たずに辞めたことが面接にどう響くか心配です。

〈今回のテーマ〉
・1年経たずに辞めたことが、どの程度、面接に影響するか。
・該当する人が面接の際に心がけるべきことは何か。

 

《経歴そのものはそこまで気にしない》

予備校では平日昼のクラスを担当していたので、民間企業を辞めて公務員を目指している受験生をたくさん見てきました。

そして、数多くの受験生の合格を見届けてきました。1年未満(もっと言えば、半年未満の人も一定数います)で辞めた人たちもその中には含まれます。

個人的な見解としては、3日で辞めたなど、極端なケースでなければ、そこまで気にしてはいないと思います。

ある人事担当者と世間話程度に、そのあたりの話を聞いたことがありますが、こんなことを言っていました。

「普通レベル以上の人材だったら、とにかくほしい。人材確保するのが精いっぱいなので、そもそもそんなことで選り好みはしていられない。」

というビジネスマンとして至極まっとうな見解を聞くことができました。むしろ、ただの企業とのミスマッチだったら、ウエルカムというところでしょう。

ですので、必要以上に、「1年以内に辞めてしまった…」と過剰に気にしないようにしてください。時々、そのことを気にしすぎて萎縮してしまっている人がいます。

 

 《自分を振り返り、公務員を目指そうと思った経緯を話せるように》

では、新卒で受験する受験生とまったく同じ対策でよいかと言えば、少しだけ注意をしておきたいポイントがあります。それは…

「でも、もしかしたらこの人、また辞めるのでは?」

という採用担当者の疑念を払拭することです。公務員になった人は辞めないというイメージがあるかもしれませんが、現実には病気などの理由ではなく、一定数の人が辞めています。

やはり採用する側としては、せっかく採用をしても、「また、1年経たずに辞めるのでは?」という点は気になります。

社会人経験者の場合、面接の話題の中心は、前職(在職中の方は現職)についての話になることが多いです。

特に短い期間で辞めた人は、その点について聞かれるのは当然のことです。ただし、辞めたことそのものが大きなマイナスポイントになっているわけではありません

面接官としてみれば、一定の納得感が得られれば、あとはその人の中身そのもので評価をしていくことになるでしょう。

 

整理・準備をしておいてほしいポイントは以下の通りです。

・なぜ、辞めると決めたのか?(もう少し続けようとは思わなかったのか?)

・大学卒業の段階でなぜその業種(企業)を選んだのか?

・どの時点で、どういったことをきっかけに公務員を考えたのか?

・公務員も同じように1年で辞めることにはならないか?(ちょっと意地悪な質問)

 

以前、予備校でよく質問に来てくれていた方の話を例にしてみたいと思います。

大学時代に勉強をした内容から、金融業に興味を持ち、その中で中小企業の支援という点に魅力を感じて、地元の地方銀行に入行。ただ、わかってはいたものの、現実には利益を出す(リスクを取れない)こと、営業ノルマがあることなど、思い描いていた働き方や、自分の価値観とは違う面を感じ退職。現実には単純ではないこともわかりつつ、公務員として中小企業支援を行いたい。

一応、ある程度筋の通った話を例として挙げてみました。

逆にこれで萎縮をされてしまうと困るので、触れておきますが、単純に「労働環境が悪すぎて辞めた」や「人間関係(ハラスメント)が悪く、それを容認する風土があり辞めた」などの理由もありました。

すべてを相手のせいにするのは、仮にそれが事実だとしてもあまり印象はよくありません(事実でも悪口にならないようにするのがよいでしょう)。

自分自身に足りなかった部分などがあれば、その部分を謙虚に受け止めつつ、話ができるとよいでしょう。

いずれにしても、冒頭で触れたように、「辞めた理由」そのもので採用の可否を決めるわけではありません。面接官に「まあ、それで辞めるのは、多少は理解できるよね」と思ってもらえれば十分でしょう。

やはり大切なのは、長所など自分自身の中身の話であり、公務員になってどんなことをやりたいかを伝えることです。

辞めたことを気にしすぎて、それ以外の点について準備ができていない人がいます。過去のことも大切ですが、しっかりとこれからの自分の話を自信をもってできるように準備してください。

 

〈まとめ〉
・1年以内に辞めたとしても、それ自体で評価が下がることはありません。
・ただし、辞めた理由など聞かれるであろうポイントは整理しておきましょう。
・過去のことを意識しすぎず、今の自分や将来の自分について、しっかりと話せるようにしましょう。