
Q.すでに面接カードに自己PRや志望動機を書いてあるにも関わらず、面接では、自己PRや志望動機を聞かれるようです。このとき、面接カードに書いてあることを覚えて話せばよいのでしょうか。また、それ以外のことについても、どの程度の分量を話せばよいのかがつかめません。
〈今回のテーマ〉
・書いた内容をそのまま話してよいのか?
・1分間自己PRなど、長く話すときのコツは?
・ひとつの質問に対して、どのくらいの分量を話せばよいのか?
《「読む」ことと「聞く」ことの違いは何か》
面接カードに書いてあることをそのまま読んだとしても、それはそれで構わないと思います。ただし…面接官が聞きやすい内容になっているのであればという前提です。
皆さんは面接カードに「書く」ことと、面接で「話す」ことについて、その違いをどの程度、意識しているでしょうか。これは面接官の立場からすると、「読む」ことと「聞く」ことの違いになります。
一言でまとめてしまうと、書いてあるものを読むのであれば、何度でも「戻る」ことができます。論理的に書かれていれば、多少煩雑な内容であっても、繰り返し読むことで理解をすることができます。
話されたことを聞くときは「戻れない」のが特徴です。どんなに論理的なステップを踏んでいても、複雑であればあるほど理解できない、というよりも、理解することを放棄したくなります。
自己PRや志望動機の準備をするときは、文章に書いて準備することが多いと思うのですが、このことを意識しておかないと、読む分には理解できるけれど、聞いていると頭に入ってこない内容になってしまいます。
では、1分間自己PRや、特別区での3分間プレゼンなど、比較的長い時間話すときのコツは何か。まずはシンプルを心がけ、長々と説明しないこと。そして、1テーマ10~15秒程度に区切って、話す内容を作っていくこと。これをおススメします。
例えば、1分間自己PRであれば、以下のようなイメージです。
(1)挨拶と長所2つ(まず結論から)…10秒
(2)長所1に対する自己評価…10秒
(3)長所1に関するエピソード…10秒
(4)長所2に関する自己評価…10秒
(5)長所2に関するエピソード…10秒
(6)締めの言葉…10秒
いかがでしょうか。1分間話すと思うと難しそうですが、このように分けてみると、意外と話せそうな気がしませんか。短いまとまりで考えれば、作りやすく、そして、何より話しやすくなると思います。
ちょっと時間が足りないと思う方もいるかもしれません。自分の話したい内容が100あるとき、その中で一番伝えたい50を話す方が、シンプルでより力強く伝わることがあります。
もちろん、長所を1つにして切り口やエピソードを変えて説明したり、じっくりと聞かせることも可能ですので、そのあたりは自分自身の話しやすい形にしたほうが良いでしょう。
《質問には「1行結論、2~3行説明」で対応する》
最近、多くの学生さんに「1つの質問に対して、どれくらいの分量で返せばよいですか?」という質問を受けます。熱くしっかり聞いてほしい時は長くなりますし、「好きな色は?」などと聞かれれば、「そうですね…赤でしょうか」くらいでも自然ですので、ケース・バイ・ケースと言ってしまえば、それまでです。
しかし、皆さんはそういう答えを望んでいるわけではないと思います。あくまで一つの基準ですが、私自身は「1行結論、2~3行説明」くらいが適当と伝えています。
例えば、「日頃、ストレスはどのように発散していますか?」と聞かれたとして、「サイクリングです。」だけだとちょっと物足りない気がしますし(1回だけなら何の問題もないですが、すべての質問にこういう返しだと、リズムが悪い印象です)、あまりに長く語りすぎても、面接官からすると、「そこまでは聞いてないのに…」となってしまいそうです。
ということで、1行結論、2~3行説明で、「ロードバイクでのサイクリングです。週末に近所のサイクリングロードを50㎞くらい走ります。自然も多いところですし、良い気分転換になります。」くらいの分量を推奨しています。
もちろん、これに縛られる必要はありません。ただ、忘れてはいけないのは、面接は面接官とのコミュニケーションの場であること。面接官が「今回の面接では、色々と質問できて、あなたのことがよくわかりました」と思ってもらえることが大切です。
ついつい、たくさん話してPRをと思ってしまいがちですが、質問の範囲を大きく外れて色々なことを話してしまうと、面接官が聞きたかったことからは外れてしまうかもしれません。そして、限られた面接時間の中で、面接官が聞きたいことを質問できずに面接が終わってしまう懸念もあります。面接官に気持ちよく質問してもらうこともポイントです。