
Q.公務員試験を受験予定です。県庁を第1志望にしているのですが、「ほぼ定時で上がれる」という話を聞く一方で、「残業が月100時間以上」という話も聞き、実際、県庁の仕事がどの程度忙しいのか知りたいです。今までアルバイトをしてきて、忙しくてもやりがいがあれば嫌ではありません。しかし、それなりにワークライフバランスも取りたいです。国や県庁などで、忙しい、忙しくないなど、特徴はあるのでしょうか。
〈今回のテーマ〉
・国、県、市、忙しいのは?
・ずっと忙しいことはあるのか?
・どのように職場環境を知るか?
《十人十色、十場十色》
ワークライフバランス大切です。やりたい仕事の中身も大切ですが、就職するにあたって、職場環境を気にするのは当然のことと思います。まずは「県庁がどの程度忙しいか」というご質問に対する回答ですが、「部署による」というのが、答えになってしまいます。
さすがにこれでは回答になっていないと思うので、捕捉します。まず、私自身、実際に働いたわけではありませんし、すべての省庁や自治体の話を聞いているわけではありませんので、一部の現職職員にリサーチした結果によるあくまで「傾向」だと思ってください。
一般に忙しさの順序付けをするのであれば、国(中央省庁)>都道府県庁(本庁)>市区町村(本庁)という形で、規模が大きいところほど忙しいというのが「傾向」でしょう。
あえて(中央省庁)や(本庁)と書いた理由は、国であっても、出先機関となるとまた変わってきますし、都道府県庁や市区町村では、支所や出張所となると、話は変わってきます。国の場合は、中央省庁>出先機関、都道府県庁や市区町村の場合、本庁>支所・出張所というのが「傾向」です。
先ほどから「傾向」と強調している理由ですが、実際のところ同じ県庁でも、部署によってまったく変わってきます。国(中央省庁)>都道府県庁(本庁)>市区町村(本庁)と書きましたが、こんなことを書いたら、知り合いの東京23区(特別区)職員に怒られます。…ある新制度の導入時、土曜日も出勤して月150時間残業なども聞きました。
基本的に定時に上がれるという某中央省庁職員とも会いました(なお、本省での「ゆう活」は一定の効果が出ているようです。本省も昔よりはだいぶ変わっているイメージです)。
時期によっても変わってきます。国会会期中であれば、国会待機という国会議員からの質問に対応する待機があります。ちなみに国会だけでなく、県議会や市議会なども似たような仕組みがあり、いずれも大変なようです。また、予算、重要法案に関われば、もちろん忙しくなります。
ある1年目の区職員数人と会いましたが、「忙しくないって聞いてたのに…」という話と、「毎日ルーティンワークで定時上がりなのが辛い」と同じ自治体の職員が言ってました。なかなか自治体別の評価は難しいものです。

《ワークサイクルバランス》
こういう書き方をすると、忙しい部署にずっと回ることになったらどうしようと不安に思うかもしれません。これからの話も「傾向」になるのですが、一般に忙しいところだけを回るということはまずないと思います。
1年目の配属は面接や書類の中身を目安に配属を決めますが、それ以降は、皆さんの働きぶりを見て、適性を見出し、上司との面談をした上で配属を決めようとしている印象を受けます。
一般に「できる人」は重要で忙しい部署に回される傾向にありますが、それでもある程度忙しいところが続いたら、その後は少し暇な部署に異動など、長いサイクルでの働き方のバランスを考えていそうです。上司から「次は早く帰れるところにするから」と直接言われるケースなども聞きました。また家庭の事情なども、考慮をしているように見えます。

《直接聞いてみるのが一番》
そんなことを聞かされても、皆さんが知りたいのは、自分が志望する省庁や自治体での話ですよね。では、それぞれの志望のケースについて、どうやって情報を収集するかですが、以下のようなQ&Aに答えるサイトもあります。
より実情が知りたいようであれば、説明会などに参加をして、職員に質問してみるのが一番わかりやすいでしょう。私も今、知ったように書いていますが、いくつかの職場の話から類推しているだけで、「傾向」しかわかりません。その場で働いている人からの情報が最も精度は高いはずです。
例えば、東京都であれば、定期的に以下のような取り組みを行っています。
ただし、せっかくの機会であっても、質問の仕方を間違えると、知りたい情報は得られません。つい 「今のお仕事は忙しいですか?」と聞いてしまいそうになりますが、それでは、ピンポイントに「ある職場」の環境だけになってしまいます。
なぜ小見出しに《ワークサイクルバランス》と書いたかと言いますと、ぜひ情報収集をする際には、個人の情報だけではなく、なるべく「多くの人」の「長いサイクル」を聞いたほうが、より全体像がつかめると思ったからです。
入ってみないとわからない部分も多くあると思いますが、自分の目と耳でなるべく広い情報を手に入れたうえで判断したほうが納得できるでしょう。実際に話を聞いてみると、忙しさだけでなく、職場の雰囲気などもつかめると思います。
そして、一般にワークライフバランスの「ライフ」の部分が強調されますが、「ワーク」も重要です。本省で働いている人に聞くと、自分の関わっている仕事のスケールの大きさにワクワクするようです。新聞の1面に掲載される仕事なんて、なかなかできないことですから。