試験で「凌ぐ」ことができるように

これから皆さんは、各自で過去問を通しで解いたり、模試を受けるなど、本試験さながらの設定で練習をしていくことになります。

いずれの試験も、教養試験(基礎能力試験)は試験時間の設定が厳しく、時間が足りないのが当たり前です。時間が無い中での問題の取捨選択が、試験で点数を取る上でキーポイントになります。

常日頃から「勉強ができることと、点数が取れることは別のこと」と講義で話をしていますが、本試験に入る前にそれを実感してほしいです。

また、過去問を通しで解いたり、模試を受ける際に、ぜひ意識的に取り組んでもらいたいのが「凌ぐ(しのぐ)」練習です。

本試験は一度切りでやり直しが利きません。自分自身が受ける試験で、想定外のことが起こることも念頭に置いて起きましょう。

例えば、裁判所職員の試験は、過去に何度か急に傾向が変わるタイミングがありました。それまでは比較的問題のレベルが低かったにも関わらず、急に普通〜難しい問題ばかり出題されたことがあります。

そのとき、「びっくりして何もできなかった」という受験生は残念な結果になってしまいました。一方、「マズいと思ったけど、気を取り直して、拾えるところだけ拾おうと思った」という受験生は、得点は低かったもののの結果は合格でした。

試験問題が「難しい」と感じたとき、それはみんなもそう感じている可能性があります。難しい試験であれば、合格ラインは低くなります(合格ラインが5割に届かないケースも)。

試験を難しく感じ、精神的にもきつい中で、「凌ぐ」ことができた好例でしょう。

自分自身の体調が思わしくない、どうもいつものリズムと違うということもあるでしょう。私自身、受験生時代に数的処理は得意科目でしたが、1問目につまずいたことで、それを引きずり、結果が芳しくないこともありました。

ある程度数的処理が得意な人は、解けない問題があったとき、「自分が解けないような問題なんだから、どうせみんなも解けるわけがない」くらいの気持ちで、他の問題にあたることをおすすめします。駄目なら駄目なりに正解を拾って「凌ぐ」ことで、最悪のケースを免れることができます。

「過去問を通して解く」にしても「模試」にしても、あくまで練習ですので、点数そのものにこだわる必要はありません。しかし、1点をもぎ取ることを普段からやっていないと、本試験当日にはできません。本試験さながらの設定でやるからこそ、経験として蓄積されていきます。

1点をもぎ取るとは具体的にどんな方法か。

方程式の解が選択肢にある問題であれば、選択肢1から5まで代入して試すことで、答えが見つかるかもしれません。

場合の数の問題であれば、無理矢理ひたすら書き出すことで解けるかもしれません。

図形の問題は、図を参考におよその長さを推測して当てはめて解いてみる方法もあります。

判断推理であれば、混み入った設定のない問題をひたすら場合分けする。

空間把握であれば、手元にある消しゴムや鉛筆を参考に立体を考えてみる。

資料解釈であれば、ひたすら筆算で答えを導き出す。

他にも様々な方法があります。1点をもぎ取るという意識を持つことで、試験でボーダーライン上から抜け出すことができるかもしれません。

試験が終わってからボーダーラインを気にするのは当然ですが、終わってしまった試験に対して何か変えることはできません。

何とか1点でも多く取って、想定外の状況を「凌ぐ」ことができるよう準備をしておきましょう。